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固定残業代のメリットデメリットや計算方法について

投稿日 :
2024-06-13 12:58:35
カテゴリ :
企業法務
WRITER :
桜花法律事務所 中島俊明

固定残業代のメリットデメリットや計算方法について

 

固定残業代とは、実際の残業時間に関わらず、定額の残業代を支払う制度です。固定残業代は基本給とは別に、毎月一定額が支払われます。

固定残業代を導入することで、様々なメリットデメリットが生じます。

今回はそんな固定残業代のメリットデメリット、また計算方法まで解説します。

 

目次

・固定残業代を導入するメリット

・固定残業代を導入するデメリット

・固定残業代の計算方法

・まとめ

 

・固定残業代制を導入するメリット

 

,給与計算の簡素化

残業時間と支払われる残業代があらかじめ定められているため、毎月の給与計算時の手間が削減されます。これにより、人事や経理の部門は作業負担が軽減され、より重要な業務への集中が可能になります。

 

,人件費が管理しやすくなる

固定の残業代を導入することで、毎月の給与の変動を抑制し、年間を通じての人件費の予測が容易になります。これは、収益の見積もりや資金計画の策定に役立ちます。

 

,作業効率の促進

残業時間に関わらず固定額の支払いが行われることから、効率的に仕事を終えることへの動機付けが労働者に与えられます。これにより、時間管理の向上や業務の優先順位付けが促され、全体的な業務効率の向上が期待できます。また、労働時間の短縮によるオフィス運営コストの削減も一つの利点です。

 

・固定残業代制を導入するデメリット

 

,人件費が増加するリスクがある

実際の残業が予定された時間を下回っても、約束された残業代全額が支払われるため、企業の人件費が増加する可能性があります。固定残業時間を超える労働に対する追加支払いも必要です。

 

,きちんとした知識なく導入するとトラブルになる恐れがある。

「固定残業代を導入すればどんなに残業させても大丈夫」などと誤った認識を持っている場合、従業員から未払い残業代を請求されるといったようなトラブルに繋がる恐れがあります。

,サービス残業や長時間労働の恐れがある

「設定された残業時間は必ず必要」との誤解から、不必要な長時間労働が生じることがあります。これは従業員の健康を害し、生産性を低下させる可能性があります。固定残業代制度を導入する場合は、これを防ぐための適切な管理が求められます。

,正確な手続きをしないと固定残業代と認められない恐れがある

固定残業代として明確性の原則などに違反すれば、固定残業代と認められず固定残業代と思っていたものか、割増賃金になってしまいます。

・固定残業代の計算方法

 

固定残業代=「一時間当たりの賃金×固定残業時間×割増率(通常は1.25

 

固定残業代には、固定残業代を基本給に含める基本給組み入れ型と、基本給とは別に一定額の手当として固定残業代を支払う手当型があります。いずれも従業員との合意が必要であり、基本給等通常の賃金に当たる部分と明確に区分される必要があります(明確区分性)

 

例えば…

月の給与総額が24万円、月の平均所定労働時間が150時間、固定残業時間が20時間の場合1時間当たりの賃金は1600円になり、

固定残業代は1600×20時間×1.2532000となります。

 

この場合は、1か月の残業時間が20時間以内であれば、かわらず32000円の固定残業代を受け取ることができます。

 

しかし、1か月の残業時間が20時間を超えた場合は、32000円の固定残業代に追加で残業代を支払う必要があります。

 

 

・まとめ

今回は固定残業代制度を導入することによるメリットデメリットや、固定残業代の計算方法について解説しました。

 

メリット

・給与計算の簡素化

・人件費の管理

・作業効率の向上

 

デメリット

・人件費増加のリスク

・サービス残業や長時間労働が横行する可能性がある。

・きちんとした知識なく導入するとトラブルになることもある

 

固定残業代の計算方法

・固定残業代=「一時間当たりの賃金×固定残業時間×割増率(通常1.25

*注意 固定残業時間を超えた場合には、追加で残業時間を支払う必要があります。

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