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労働契約の成立と労働条件の決定
- 投稿日 :
- 2024-05-27 19:22:51
- カテゴリ :
- 企業法務
- WRITER :
- 桜花法律事務所 中島俊明
労働契約に関するガイド
労働契約は、労働者と使用者の間で交わされる基本的な取り決めです。ここでは、労働契約の成立と労働条件の決定方法についてわかりやすく解説します。
・目次
労働契約の成立
労働契約は、労働者が使用者の下で働き、使用者がその労働に対して賃金を支払うことに合意することで成立します(労働契約法6条)。この契約により、賃金、労働時間、休憩、休日、休暇などの労働条件が定められます。また、労働条件の変更も労働者と使用者の合意によることが原則です(労働契約法8条)。
労働契約締結(変更)の原則
労働契約法3条では、以下の原則が定められています。
・労使対等決定の原則(1項)
労働契約は、労働者と使用者が対等の立場で合意に基づいて締結・変更されるべきです。また、契約内容は合理的であることが求められます(労働契約法1条)。
・均衡考慮の原則(2項)
労働契約は、労働者と使用者が就労の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結・変更されるべきです。
・ワークライフバランスの原則(3項)
労働契約は、仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結・変更されるべきです。
信義則・権利濫用法理の確認
労働契約は、信義則に基づき、権利の濫用がないようにする必要があります。
法令による規制
労働契約は労働基準法、雇用機会均等法、最低賃金法、労働安全衛生法などの労働保護法規の規制を受けます。これらの法令は最低基準を定めており、この基準に達しない労働条件は無効となります(労働基準法13条)。
労働協約による規律
労働協約が適用される場合、その基準に違反する労働契約の部分は無効となり、労働協約の基準が適用されます(労働組合法16条)。
就業規則による規律
就業規則に定められた労働条件が合理的で、使用者が労働者に周知させていた場合、その条件が労働契約の内容となります。ただし、個別の労働契約で就業規則よりも労働者に有利な条件が合意された場合、その特約が優先されます(労働契約法7条)。
規範の序列
法令(強行法規) > 労働協約 > 就業規則の順で適用されます。強行法規とは、当事者間の合意が無効となる法令です。
労働条件明示義務
使用者は労働契約締結時に、以下の5つの労働条件について書面で明示する義務があります(労働基準法15条)。
① 労働契約の期間
② 就業の場所・従事する業務の内容
③ 労働時間(始業・就業の時刻、休憩時間、休日、休暇など)
④ 賃金(決定方法、計算方法、支払方法、支払時期)
⑤ 退職に関する事項
理解促進の責務
使用者は、労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるよう努めなければなりません(労働契約法4条1項)。この義務は契約締結時だけでなく、労働条件が変更された場合にも適用されます。
書面による労働契約内容の確認
使用者及び労働者は、労働契約の内容についてできる限り書面で確認するものとされています(労働契約法4条2項)。
以上のポイントを押さえ、労働契約を締結する際には、労働者と使用者が対等な立場で合意し、法令や規則に基づいて公正に取り決めることが重要です。
労働契約は、労働者と使用者が対等な立場で合意し、法令や労働協約、就業規則に基づいて公正に定められるものです。賃金や労働時間などの労働条件は、契約締結時に明示される必要があり、変更時にも同様の手続きを踏むことが求められます。法令の最低基準を守り、労働者の理解を深める努力が使用者には必要です。これにより、健全な労働環境を築くことができます。労働契約についてなにかお困りのことがありましたら、桜花法律事務所へご相談ください。
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