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自己破産における非免責債権について
- 投稿日 :
- 2023-06-24 13:42:19
- カテゴリ :
- 債務整理
- WRITER :
- 桜花法律事務所 上野健太
目次
1.非免責債権とは
2.租税等の請求権(破産法253条1項1号)
3.破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権(破産法253条1項2号)
4.破産者が故意または重大な過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(破産法253条1項3号)
5.破産者が負担する扶養義務に係る請求権(破産法253条1項4号)
6.雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権・預り金返還請求権(破産法253条1項5号)
7.破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(破産法253条1項6号)
8.罰金等の請求権(破産法253条1項7号)
1.非免責債権とは
自己破産手続きにおいても、全ての借金を免れることができるわけではなく、免責されない借金が存在します。
このように、免責の効力が及ばない債権を「非免責債権」といいます。
破産法253条1項では、非免責債権として以下のような定めがあります。
2.租税等の請求権(破産法253条1項1号)
租税等の請求権については非免責債権として扱われ、免責の効力が及びません。
そのため、所得税や贈与税のような国税の他、固定資産税、自動車税などの地方税、国民健康保険の保険料、国民年金の保険料等の滞納については最終的には支払うこととなります。
3.破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権(破産法253条1項2号)
破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権は、非免責債権とされています。
ここでいう「悪意」とは、積極的な加害の意思と考えられています。そのため、破産者が不貞行為の慰謝料を請求されている場合、妻を積極的に害し、家庭の平穏を侵害する意図があったといえるような例外的な場合を除いて、積極的な害意までは認定されず、非免責債権に該当しないことが多いと考えられます。
他方で、窃盗や詐欺を働いたことによる損害賠償請求権や、勤務先の現金を横領したことによる損害賠償請求権は、非免責債権に該当し、免責の効力が及ばないことが多いと考えられます。
4.破産者が故意または重大な過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(破産法253条1項3号)
交通事故の損害賠償請求や暴行の被害者からの損害賠償請求は非免責債権に該当し、免責の効力及びません。
もっとも、重過失に至らない単なる過失に過ぎない事案であれば、損害賠償請求権は免責されることとなります。
5.破産者が負担する扶養義務に係る請求権(破産法253条1項4号)
養育費や婚姻費用等の債権は、非免責債権として扱われ、免責の効力は及びません。
6.雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権・預り金返還請求権(破産法253条1項5号)
個人事業主の方が自己破産をするに際しては、従業員の給料や退職金等は非免責債権として扱われ、免責の効力が及びません。
従業員の給料は、破産手続開始前3カ月間分については財団債権となりますが、財団債権以外の部分については非免責債権になるということになります。
7.破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(破産法253条1項6号)
債権者名簿に記載されていない債権については、原則として、当該債権者について免責の効力は及びません。
この点、破産者が「知りながら」という文言はありますが、破産者が積極的に一部の債権者の記載をしなかった場合はもちろんのこと、過失により記載を怠った場合も含まれますので、債権者の記載漏れには、細心の注意を払う必要があります。
なお、一部の債権者を積極的に記載しなかった場合、免責不許可事由にも該当します。
友人などを債権者名簿にのせないでほしいと頼まれることはありますが、免責を獲得する面でも、非免責債権となってしまうという面でもリスクでしかありません。友人に返したいのであれば、自主的に返済すればいいのです。
8.罰金等の請求権(破産法253条1項7号)
罰金、科料、追徴金及び過料の請求権については、免責の効力は及びません。
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