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個人再生手続に適した事例
- 投稿日 :
- 2023-06-07 18:03:08
- カテゴリ :
- 債務整理
- WRITER :
- 桜花法律事務所 上野健太
1 個人再生手続とは
裁判所が関与する債務整理手続として自己破産の他に個人再生による債務整理が存在します。
個人再生とは、
①負債総額が5000万円以下の個人が
②負債総額を5分の1等に圧縮した上で、
③3~5年間の分割により支払っていく債務整理です。
2 小規模個人再生と給与所得者再生
個人再生手続には、小規模個人再生と給与所得再生の二つの手続きがあり、小規模個人再生においては分割払いについて債権者の意見を聞き、反対の債権者が債権者総数の半数に満たず、かつ、その債権額が債権総額の2分の1を超えないことが再生計画が認められる要件です。給与所得者再生の場合には債権者による反対は問題にはなりませんが、支払額が大きくなる(圧縮額が小さくなる)傾向にあります。
3 個人再生手続きに適した事例
①個人再生手続きに適した事例として、住宅ローンの残っている自宅を所有している場合があげられます。
通常自己破産手続きにおいては申立人の全ての財産が処分の対象となりますが、個人再生においては住宅資金特別条項を利用することで、ローン債務と他の一般債務とで返済条件を別々にしてもらうことが可能です。住宅ローンについてはこれまで通り支払いながら、その他の債務を5分に1に圧縮してもらうことで、自宅に住み続けたまま経済再生が可能となります。
このように、住宅ローンの残っている自宅を所有しており、今後も住み続ける要望がある際には個人再生は有用な手続きです。
②借金の原因がギャンブルや浪費等である場合にも個人再生手続は取り得る手段です。
通常自己破産ではギャンブルによる借金は免責不許可事由としてあげられています。
裁量免責の可能性は十分に検討される必要はありますが、二度目の自己破産等、
免責される可能性が低い事案では個人規模再生は有用な手段です。
③個人事業主であり、債務整理後も事業を続けていきたい場合にも個人再生は有用です。
通常自己破産手続きでは、事業用の設備や売掛金等の事業用資産についても処分しなければならないことから、自己破産後も事業を続けることは困難です。
しかし、個人再生では、財産の処分が必須ではないため、事業用資産を処分せずに債務整理をすることが可能です。
また、リース物件について別除権協定を締結し、リース物件を維持することも可能です。
このように、個人事業主であり、債務整理後も事業を継続する意思がある場合には個人再生は有用な手段です。
他にも、破産者であることが欠格事由である職種に就いている等、個人再生が適した事案が存在します。
債務整理にあたっては、複数の手続きの中からどのような手続きを選択すべきかを慎重に判断する必要があります。
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