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偽装請負の危険性
- 投稿日 :
- 2023-05-25 18:39:56
- カテゴリ :
- 企業法務
- WRITER :
- 桜花法律事務所 中島俊明
目次
1.偽装請負とは
偽装請負とは、形式上は請負契約や業務委託契約を結んでいるにも関わらず、労働者派遣契約や労働者供給契約にあたる場合を言います。
労働者派遣契約とは、派遣元事業主が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、この派遣先のために労働に従事させる契約です。
労働者供給契約とは、自己の支配従属関係にある労働者を、供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させる契約です(職業安定法4条8項)。
業務委託契約や請負は、委託者側から具体的な指揮命令権を行使することはできませんが、名目上は業務委託や請負となっている場合でも指揮命令監督に従わなければならないことになっている場合には、偽装請負ということになります。
2.偽装請負の罰則
刑事罰として労働者派遣業や労働者供給業を無許可でここなったとして最大1年の懲役や最大100万円の罰金が科せられます(労働者派遣法5条1項、同法59条、職業法安定法44条、同法66条10号)。
労働基準法6条の中間搾取の禁止違反に該当するとして一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処せられる場合があります(労働基準法118条)
3.労働契約申込みみなし制度
労働契約申込みみなし制度とは、派遣先等により違法派遣が行われた時点で、派遣先等が派遣労働者に対して、その派遣労働者の雇用主(派遣元事業主等)との労働条件と同じ内容の労 働契約を申し込んだとみなす制度です(労働者派遣法40条の6)。なお、派遣先等が違法派遣に該当することを知らず、 かつ、知らなかったことに過失がなかったときは、適用されません。
偽装請負の場合には、労働契約みなし制度によって派遣先が労働者契約を申し込んだとみなされ、不意に労働契約が成立する可能性があります。交わされる契約は、その派遣労働者の労働条件と同一の契約ということになります。
偽装請負をすると、このように意に沿わない雇用がリスクとして挙がってくることになります。
4.まとめ
偽装請負と言われないようにするためには指揮命令について意識を配ること、業務委託や請負契約の方に対して指揮命令関係関係をもって対応しないこと重要です。そのためには、契約時に指揮命令についての定めておいたり、現場の状況をが指揮命令となっていないかを適宜モニタリングすることが重要です。
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