弁護士コラム
Column

雇用の際の基本的な法律関係

投稿日 :
2023-05-10 17:04:29
カテゴリ :
WRITER :
桜花法律事務所 上野健太

Ⅰ 労働契約

企業は自由に労働者を雇用できますが、労働者保護の観点から一定の規制が存在します。

労働法において、労働者と使用者との労働条件については労働契約法に従って合意がなされる必要があり、一定の労働条件については書面により明確化しておく必要があります。

労働基準法第15条には、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」と定められており、労働基準法施行規則には、労働者に対して明示しなければならない労働条件として、以下のような事項を掲げています。(以下抜粋)

一 労働契約の期間に関する事項

一の二 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項

一の三 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項

二 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働

者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項

三 賃金の決定、計算

及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

四 退職に関する事項

Ⅱ 就業規則

就業規則は労働者の労働条件について予め画一的に定めておくものです。

常時10人以上の労働者を使用する使用者には就業規則の作成義務があり、就業規則を掲示や備え付けにより労働者へ周知する必要があります。

労働基準法第89条では就業規則において定めるべき事項として以下のような事項を掲げています。(以下抜粋)

一 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

二 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

三 退職に関する事項

三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

Ⅲ 法令や労働契約、就業規則等の関係

① 労働者の過半数で組織する労働組合のない会社の場合

上記のとおり、労働契約や就業規則等の定めが重複することが生じ得るため、その際にどの規定を優先させるかが問題となります。

この点、労働組合のない会社においては、法令>就業規則>労働契約の順序で労働条件等の規定が適用されることとなります。

② 労働者の過半数で組織する労働組合のある会社の場合

この場合、優先順位としては、法令>労働協約>就業規則>労働契約の順序となります。

労働協約が就業規則や労働契約に優先することに注意が必要です。

 

検索

カレンダー

<
>

カテゴリ

    WRITER

      過去ログ

        page top