ギャンブル依存症(パチンコ約1680万・競艇約960万費消)の自己破産で裁量免責を獲得(債務約718万)
2026-06-23
30代男性の相談者様は、ギャンブル依存症ではないかと思い自助グループに通うようになり、ギャンブルを一切しなくなったが、すでに膨大に膨れ上がった債務を整理するために当事務所の弁護士に相談し、自己破産と闇金まがい業者への対応を委任されました。
相談事例
依頼者様は、依頼時に30歳で会社員の男性です。
依頼者様は、友人に誘われパチンコ・パチスロに通うようになりました(月3万円程度費消)。その後、社会人になって収入が増えたのでパチンコ・パチスロに行く回数が増え、使用金額も増えました(月5~6万円程度費消)。この頃にクレジットカードを使い、借金も始まって借りては返す生活が始まりました。
一度、前妻と結婚したものの、結婚資金として貰ったお金を借金返済に充て、前妻に借金を隠していました。それでも、パチンコ等が止められず、借金は増えていく一方で、競艇も始めました(パチンコ等:月2~3万円、競艇:月2~3万円)。
その後、前妻と離婚しました。一人暮らしになって給与の中で自由に使えるお金が増えたことから、競艇・パチンコ等にお金を使う生活は悪化していき(パチンコ等:月5万円、競艇:月5万円)、借金もそれにともなって増えていき、友人からも借入をするようになりました、結局、返済期限に返済することができず、さらに別の友人からもお金を借りました。2人の友人からの借金を返済したいと思い、ますますギャンブルにのめり込むようになりましたが(パチンコ等:月10万円、競艇等月10万円)、ギャンブルで利益が出るわけもなく、友人たちへの借金を放置したままになりました。
再婚したところ、奥様に隠していた借金が発覚しました。以降、話し合った末に、奥様に金銭管理をしてもらって、1日1000円だけを受け取るようにしました。結婚当初に借金の立替をして貰ったり、新生活の費用として197万円を奥様に援助してもらいました。また、奥様に金銭管理はしてもらっていたましたが、奥様も行き過ぎた管理はよくないと考えて少額のギャンブルは許していました(パチンコ等:月1000円、競艇:月1000円)。この頃に、司法書士に任意整理を依頼して、奥様の管理のもと返済をしていきました。
生活の中で、奥様から買い物費用をとして預かったお金をギャンブルに使ってしまい、それを隠すために闇金等からお金を借りてしまいましたが、親御様に頼み込んで肩代わりして貰いました。さらに3人目の友人からもお金を借りましたが、1度しか返済することができませんでした。
その後、再度闇金まがいの先払い業者にお金を借りてしまい、返済できず督促に苦しむようになり、ここに至って自分はギャンブル依存症ではないかと思い、自助グループに通うようになり、ギャンブルを一切しなくなりました。ただ、膨大に膨れ上がった債務を整理するために当事務所の弁護士に相談して、自己破産と闇金まがい業者への対応を委任されました。
解決結果
1.弁護士は、最初に闇金まがい業者含む債権者に対して受任通知を送りました。闇金まがい業者に対してはこれ以上の取立をやめることを約束させました。また、受任通知を送ったことで債権者からの取立が止まり、落ち着いた生活を取り戻すことに成功しました。
その後、依頼者様から、弁護士が依頼を受ける前に借りていて未払いにしていた闇金があり、その闇金がネット上に詐欺師としてホームページの広告に依頼者様の情報を晒しているという相談を受けました。弁護士は、検討の結果、サーバーが海外にあったことから、まずは、グーグルにそのページが検索に掲載されないように働きかけてみてはと助言をしたところ、依頼者様がそのとおりに対応され、依頼者様の情報に検索サイトからアクセスは出来なくなりました。
2.弁護士は、ギャンブル依存症からの回復をしなければ、自己破産をしても、経済的再生は困難である旨を伝え、自己破産の準備期間中、ギャンブル依存症からの回復活動に取り組んでいくことを確認し、依頼者様には、定期的に自助グループ(GA)に通ってもらいながら、その記録を付けてもらいました。また、家計収支表を作成してもらい、家計収支の可視化をしていくようにしました。そのうえで弁護士は依頼者と月1回の面談をして、回復活動の状況、家計収支表の確認をしながら、ギャンブル依存症について語り合いつつ、自己破産の準備を進めていきました。なお、金銭管理については依頼者様と奥様の信頼関係厚く、依頼者様がそれを強く望んだため、金銭管理については特に意見を述べませんでした。
3.破産の準備が整った段階で、金銭管理をしていた関係上、夫婦の預金は全て奥様名義の預金にしており、依頼者様の口座にはほとんどお金がないという状況になってしまいました。この場合に、依頼者様の財産を奥様名義で隠しているなどと言われないようにするため、奥様に相談して、家計収支表をもとに、依頼者と奥様の収入を考慮して、貯めたお金の65%を弁護士が依頼者様の財産である預り現金として預かることにしました。そのうえで破産申立をしました。
4.破産申立書類では多重債務に至る経緯を詳細に説明するとともに、ギャンブル依存症についての詳細な説明と依頼者様が真摯にギャンブル依存症からの回復と経済再生に取り組んできたことを記載しました。破産管財人も取り立てて指摘することもなく、奥様から預かった現金についても特段問題視されませんでした。ただ、家計収支として余裕があったものの、破産開始決定前後で夫婦で旅行に行っていることが判明し、この点について、依頼者本人に対して破産をする者の態度ではないと指摘し、お金の使い方を見直すように伝えました。
5.その後、依頼者様は再度気を引き締めなおし、破産管財人から言われる前に反省文を用意するなど、やるべきことを的確に行い、破産管財人に家計収支の改善とギャンブル依存症から回復の状況を伝え続けました。その結果、裁量免責を獲得することができました。
6.依頼者様は最後の面談で、これからも回復活動を継続すること、家計収支表を付け続けることを決意しておられました。
弁護士のコメント
闇金まがい業者については速やかに対応することができ、落ち着いて経済再生をすることができました。最近では闇金は支払わない人を詐欺師などとネットに晒すことが増えていますが、今回のケースでは助言に基づき、グーグルによる検索結果の削除要求が奏功したのでよかったと考えています。そこにエネルギーをとられなかったことでギャンブル依存症からの回復に注力できました。
金銭管理についてはギャンブル依存症の対処方法として様々な考え方があり、弁護士個人としては、ギャンブル依存症を悪化させる危険があるために、家族による金銭管理は基本的にすべきでないとの考えを持っていますが、本件では、依頼者様がギャンブル依存症であることを認めており、奥様による金銭管理を積極的に希望していたことから、ギャンブル依存症からの回復を阻害しないものと判断しました。
ただ、家族が管理する場合に、本人名義以外の口座で管理すると、家族の財産と本人の財産と混ざってしまうことがあります。本件において、依頼者様の財産を家族の財産の中に隠しているのではないか指摘される懸念がありましたので、家計収支表からの按分で導いた額を預かり、自由財産拡張の判断後速やかに奥様の口座に返金しました。これは家計簿を欠かすことなくつけていたからこそできた処理です。また、家族が金銭管理をするにしても、家族が家族名義ではなく、本人名義の預金口座を管理(通帳、カード、暗証番号も印鑑も家族が管理)する方が安全だったように思いますが、これは個別具体的に判断するしかないと思います。
この事件で思ったことは、破産申立直後など一区切りついた段階でギャンブルではない別の形での問題ある支出(本件でいえば旅行)が起こることです。弁護士自身はギャンブル依存症が回復しさえすれば、経済的再生ができると考えていました。ギャンブル依存症が多重債務の大きな原因となるのは確かですが、ギャンブル依存症の方に限らず多重債務になる方全般についてお金の管理が甘く、安易な形で先を考えずにお金を使ってしまう側面があり、家計収支表を通じた経済感覚を養うことの重要性を再認識しました。この事件以降、毎月の家計収支表についてもきちんと議論をするようにし、家計収支のあり方についても面談の中で話をするようになりました。
この事件は色んな意味で申立代理人としての考え方を見直させてもらえた事案でした。弁護士は、何より依頼者様が回復活動と家計収支表を継続していく中で充実した顔を見せてくださるのが嬉しく、勇気をもらいました。この事件の経験を生かして今後も頑張っていきたいと思います。