解決事例
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解決事例報告Solution case report

  • 【懲戒解雇回避/自主退職成立】懲戒解雇をしようとした使用者に対し速やかに退職の意思表示をし自主退職を成立することで懲戒解雇を阻止
    2023-10-02
    50代女性相談者様は、長年にわたって時間外労働をしてきましたが、残業代が支払われず上司に相談し残業代の請求をしたところ、問題なく残業代が支払われましたが、その後になって残業代を請求したことを相手方会社から不正な行為として追及されるようになり・・・

    相談事例

    相談者様は相談時50代の女性です。
    相談者様は長年にわたって時間外労働をしてきましたが、相手方会社から残業代が支払われませんでした。そこで、現場の上司と相談して、3か月間正確な打刻するタイプの出勤簿に正確な労働時間を手書きで付記して残業代の請求をしたところ、問題なく残業代が支払われました。
    その後になって残業代を請求したことを相手方会社から不正な行為として追及されるようになり、それどころか、給料を水増し請求したことなどの理由に顛末書を書くように求めてきました。相談者様は、元々体調を崩していたところ無理して働いていましたが、この会社の態度に退職を決意し、退職届を書きましたが、退職届の受理をしませんでした。相談者様を懲戒解雇することを会社が告げるようになったため、相談者様は当事務所の弁護士に相談して本件事件を委任しました。

    解決結果

    1.弁護士は、ご相談者様から依頼を受けると、速やかに内容証明郵便通知で退職の意思表示をするとともに、顛末書に記載されている事実の裏付け資料を求めました。また、これまでの未払賃金の請求も合わせて行いました。相談者様も通知書にあわせて有休消化に入りました。2.そうしたところ、相手方会社の代表者から業務上の支障などについて諸々苦情を言われましたが、答えるべきは答えつつ、いなしました。そうこうするうちに顛末書の裏付け資料も届かないまま2週間が経過し、自主退職が成立しました。
    3.そこで、弁護士は再度内容証明郵便を送り、給料明細、雇用保険被保険者証、離職票、源泉徴収票、社会保険資格喪失証明書の送付を弁護士にまで一定期日までに送付するように連絡しました。
    4.そうしたところ、退職が成立した後にもかかわらず相手方会社の弁護士から水増し請求の返金などを求めるとともに、懲戒処分を検討する回答書が届きました。これに対して、弁護士は、回答書を送り給与の水増し請求を否定するとともに、既に自主退職が成立しているので懲戒処分を下すことはできないと文書を送りました。</p><p>5.そうしたところ、相手方会社から懲戒解雇の通知書が通知人に届けられました。これに対して、弁護士は退職後に懲戒をすることができないことも知らないのかと思い、強く懲戒解雇を撤回するように求めるとともに、文書でも自主退職後の懲戒解雇は無効であることを通告しました。そうしたところ、相手方会社の弁護士は懲戒解雇を撤回し、相手方は離職票などを送ってきました。

    弁護士のコメント

    民法627条1項では「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」と定められており、これに基づいて相談者様の自主退職は成立していました。そして、懲戒手続は労働者に対して行うものであり、既に退職した者に行うことはできません。
    本件では、相手方が早期に退職の通知を送り自主退職を成立させましたことが勝因です。相手方がもたもたしているうちに懲戒手続を封殺しました。その後、相手方会社は懲戒解雇の通知を送ってきましたが、弁護士がついていながらこのような行動に出たことに非常に驚きました。文書と口頭で責め立て、懲戒解雇を撤回させました。既に自主退職が成立しているので何もしなくてもいいかなとも思いますが、懲戒解雇の言葉が独り歩きするのは好ましくないと思い、徹底的に攻撃を加えました。
    懲戒解雇を回避して会社を辞めることができて、相談者様には大変満足して頂くことができ、この事件に携わることができて本当によかったと思っています。

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