解決事例
Examples of solutions

解決事例報告Solution case report

  • 【総債務額811万729円→0円】ギャンブル依存症による多重債務事件で、破産申立を行い、裁量免責を獲得しました。
    2023-07-24
    家族の入院費用のために300万円ほど借り入れ、また様々なストレスから逃れるためにのめり込んでしまった競馬での借金などで返済に困ったことから、以前に縁があった当事務所の弁護士に相談に来られました。

    相談事例

     相談者様は、本件依頼時40代の会社員の男性です。
     相談者様は、本件依頼時から20年ほど前にクレジットカードを使って携帯電話の支払や買い物をするようになりました。ただ、この当時は、収入もあり、返済に困ることもありませんでした
     依頼時の3年前程まえに情報商材詐欺被害にあい、当職事務所で被害回復にあたり、大口の被害は回復できたものの、少額の被害事件については費用とのバランスから依頼しなかったため、債務の返済の負担増えることになりました。この頃、家族の入院費用のために300万円ほど借り入れをしています。
     その後、家族の入院や仕事のストレス等からオンラインで競馬を行うようになりました。月10万円以上も競馬につぎ込み、競馬で損をしたら、それを取り返そうとしてまた競馬を行い、また損をするという状態になってしまいました。競馬にのめり込んでいった結果、借金を繰り返すようになっていきました。
     このような状況が継続し返済に困ったことから、以前に縁があった当事務所の弁護士に相談したところ、自身がギャンブル依存症の可能性があることを認識、経済的再生とギャンブル依存症からの脱却を目指して自己破産を決意するとともに、ギャンブル依存症の治療を行うことにしました。相談者様の債務額は811万729円でした。

    解決結果

    1.弁護士は、受任通知を送り、まず債権者からの督促を止めました。
    2.弁護士は、相談者様に依存症専門医院や自助グループ、オンラインミーティングで最低週1回は治療のための時間をつくるように助言を行いました。また、ご相談者様はオンラインミーティングや自助グループに参加しつつ、依存症専門医院への通院をするようになりました。また、弁護士と月1回の面談を実施し、家計簿をもとにした家計状況やギャンブル依存症の回復状況について面談で話すようになりました。当初はギャンブルをしていないと弁護士に話していました。
    3.その後、受任後5カ月くらいして、相談者様が宝くじを継続的に購入していたことが弁護士との面談で発覚しました。そこの場でよく話し合った結果、ご相談者様は、より回復の意識を強くもって自助グループやオンラインミーティングに通うことでギャンブルしなくなりました。
    4.その後、ギャンブル依存症からの回復に一定の目途がついたことから、破産申立を行いました。免責不許可事由があったため、破産管財人がつきましたが、ご相談者様がオンラインミーティングや自助グループ、依存症専門外来への通院を通じて、ギャンブルをしない日々を送っていることを伝えました。また、家計簿と自助グループに通った記録の報告など毎月の弁護士との面談の結果を管財人に送付し続け、回復の姿を伝えていきました。
    5.その結果、破産管財人から「破産者の財産及び収入の状況からすると、この競馬への支出は、行為の結果として過大な債務の負担をしたものであって、社会的に許される範囲を逸脱したものと言わざるをえず、「浪費又は社交行為による著しい財産の減少」として、破産者には免責不許可事由が認められる。」との指摘を受けつつも、「しかしながら、破産者には以下の事実も認められる。すなわち、破産者は、(中略)令和3年12月より依存症治療の専門家である□□□□(病院名)を受診し、「病的賭博」(いわゆるギャンブル依存症)との診断を受けているなど、そのギャンブルへの欲求やコントロール障害は破産者の抱える疾患によるところが大きいと理解され、必ずしも大きな非難ができない部分も認められる。また、破産者は、上記のとおりギャンブル依存症克服の努力を評価し、裁量免責を許可する旨の意見を述べました。その結果、裁判所により裁量免責を獲得することができました。□□□□(病院名)の受診の後、同医院への概ね月1回の継続的な通院をして精神療法・カウンセリングを受けている外、医師のアドバイスの下で、オンラインなどでの自助グループ(ギャンブル依存症の当事者などが集まり、自己開示をしたり、相互にアドバイスをしたりするなどの取り組み)への参加を1年以上にわたって継続しており、上記破産者の病的賭博の疾患については医師の管理下で適切な治療が継続され、かつ、実際に破産者が断ギャンブルを継続的できていることも認められる。さらには、破産者は、自身の病的賭博について「治るものではないが、やめつづけることができる。」、「ギャンブルをしない1日を続ける。」と適切な認識の下、ギャンブルをしないと自らの言葉で誓約してもいる。以上のことを総合すると、破産者が今後再びギャンブルをして財産を減少させたり、債務を増大させたりする可能性は高くないと認められる。」と判断して、裁量免責の意見を述べ、裁判所より免責を獲得することが出来ました。

    弁護士のコメント

     毎月愚直に家計簿をつけて、回復に励んでいく姿がとても実直で励まされた事案です。それだけに絶対に免責を取りたいと思わせてくれる事案でもありました。本当に免責を獲得することができてよかったと思っています。
     ご相談者様は1年3カ月以上ギャンブルをしていない状態で業務終了に至りました。また、最後の面談で、これからも回復を続けていくことの重要性をお互いに確認しあいました。これからも、「ギャンブルをしない1日を継続する」ことを繰り返していかれること信じています。
     今回は管財人の免責に対する意見がとても印象的で、ギャンブル依存症や回復について、調べ学んだうえでしっかりとした理由で裁量免責の判断してくれたこと、その過程で本人の回復への意識をきちんと取り上げてくださったことがとても嬉しかったです。
     ほかの解決事例でも述べましたが、ギャンブルをしてしまったこと、それによって多重債務に陥った過去はどうしたって変えられません。しかしながら、未来は変えることができます。また、未来における過去の見方も変えることができます。相談者様が回復を地道に続けていったことが免責を獲得する力になったのだと思います。
     ご依頼者様の「ギャンブルをしない1日を続ける」という実践をこれからも継続してほしいと思っています。

カテゴリー

最近の事例

よく読まれている事例

page top