解決事例
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解決事例報告Solution case report

  • 【2回目自己破産・闇金対応】ギャンブル依存症による2回目の自己破産、闇金対応をしつつ破産申立を行い免責を獲得
    2023-05-26
    10年ほど前に生活費の不足から破産申立を行い免責を獲得していたが、その後ギャンブルの為に借金をし、返済に限界がおとずれ、弁護士に依頼していたが解決してもらえず辞任を告げられ、別の弁護士を探すことになり当事務所の弁護士へ相談に来られました。

    相談事例

     相談者様は、本件依頼時40代のパート勤めの女性です。
     相談者様は、本件依頼時から10年ほど前に生活費の不足から破産申立を行い、免責を獲得しました。この当時は、パチンコを3カ月に1回ほどしていましたが、金額も少なく、さほど回数もしていなかったことからさほどギャンブルについて破産手続上は問題にされませんでした。
     その後、子供が大きくなって手がかからなくなったり、旦那様が単身赴任になったことから、一人の時間が増え、旦那様から送金される生活費の中からネットゲームやパチンコにお金を使うようになっていきました。そして、手元のお金がなくなると旦那様から渡されていたカードを使って借金をするようになっていきました。
     その3年後、就職をして収入を得るようになると、旦那様から預かっているカードを使って借入をしたり、自分でもカードを使ってギャンブルのために借金をするようになっていきました。このころになると月額20万円ほどパチンコにお金を使うようになりました。その後は、競輪や競馬もするようになりました。
     それから間もなく、旦那様に借金が発覚しましたが、旦那様が立替えて返済をしていきました。ところが、相談者様は借金を全額申告したわけではなく、小出しに申告して、その都度、旦那様に借金の返済をしてもらいました。その後、旦那様が単身赴任先から戻られましたが、ギャンブルによる借金がやめられず旦那様もその都度借金を肩代わりしていきました。また、このころにはスマートフォンを後払いで購入したうえで直ちに売却して換金することもしていました。
     旦那様による肩代わりも限界にきたことから、自己破産を弁護士に依頼しました。弁護士の送付した受任通知によって新たな借り入れはできなくなりました。このころに、精神保健福祉センターを通じて、相談者様はギャンブル依存症であることを認識し、月1回ペースで精神保健福祉センターに通うことになりました。
     当時の弁護士は受任通知は送ったものの、その後特に破産申立を進めることもなく、漫然と日にちだけが過ぎていきました。そんな中、相談者様は、闇金から借り入れて隠れてギャンブルを繰り返すようになっていきました。そうしたところ、突如としてわけもわからないままに、弁護士から辞任を告げられ、別に弁護士を探すことになりました。そんな中で、当事務所の弁護士と出会い、破産申立を再度依頼しました。ただ、受任当時は全ての借金を申告せず、闇金があることは弁護士に隠していました。破産申立時までで、本人の記憶ベースですが、ギャンブル等に使ったお金は、パチンコに約1000万円、競輪と競馬に1500万円、宝くじに12万円、ネットゲームに30万でした。

    解決結果

    1.弁護士は、受任通知を送り、まず債権者からの督促を止めました。
    2.弁護士から、神保健福祉センターに月1回通うだけでなく、依存症専門医院や自助グループ、オンラインミーティングで最低週1回は治療のための時間をつくるように助言を受けました。また、弁護士と月1回の面談を実施し、家計簿をもとにした家計状況やギャンブル依存症の回復状況について面談で話すことになりました。このころはギャンブルをしていないと弁護士との面談でも述べていました。
    3.受任後3ヵ月して、相談者様は、闇金及びそれに類する業者16社に対する支払いができなくなったことから、ギャンブルのために闇金等を利用していたことを弁護士に申告しました。弁護士はすぐに面談を行い、闇金等16社に対して、督促を止めるべくすぐさま介入を行いました。LINEしか連絡がわからない業者も多数いました。弁護士のLINEアカウントから連絡をかけて取立を停止するように求め、まもなく闇金からの督促は止まりました。当然介入してからは闇金に1円も支払っていません。
    4.この闇金に対する恐怖がきっかけなって、回復への意欲が強くなり、通院や自助グループやオンラインミーティングに積極的に参加するようになりました。毎月の弁護士との面談でもしっかりと家計簿や回復のための活動記録をつけて望み、回復への強い意欲をみせてくださいました。
    5.また、当事務所の弁護士が受任通知を送ったあとに、街金業者がすぐに訴訟提起をしてきました。弁護士費用の積立もままならない状態で、このままだと差押がなされ、職場に借金があることがバレてしまう危険もありましたが、幸い移送申立を使うことができたので、それを使って時間を稼ぎ、差押がなされる前に破産申立をすることができました。このころにはギャンブルをしない生活を継続することができている状態になっていました。
    5.破産申立は、管財人がつき、2回目の自己破産であること、ギャンブルによる多額の借金が原因であること(破産法252条1項4号の浪費又は賭博等)、スマートフォンを購入して換金したこと(破産法252条1項2号の廉価処分)、最初の弁護士が受任通知を送った後に闇金から借り入れて返済していたこと(破産法252条1項3号の偏波弁済)について詳細な説明を求められましたが、管財人からの質問に誠実に対応しました。また、破産申立書の中でギャンブル依存症についての詳細な説明、病院の診断書や自助グループやオンラインミーティングに通った記録を提出し、ギャンブル依存症からの回復に真摯に取り組んでいることを伝え、管財人の指導に基づいて反省文も書きました。
     その結果として、管財人は「裁量免責について検討するに、免責不許可事由が複数あり、かつその態様が悪質であること、今回の破産申立が(中略)2度目であることを踏まえれば免責を不相当とすることも十分に考えられる。」、「しかし、破産者が破産に陥った原因はギャンブル依存症にあると考えられる。そして、破産者は、申立代理人からの指導に基づき、ギャンブル依存症からの回復に真摯に取り組んでいることが認められ、また、反省文の提出もなされていることに照らし、今後はギャンブルに手を出さないとの決意を見て取ることができる。」、「以上から総合的に判断すると、裁量に免責が相当であると思料する。」として裁量免責を許可する旨の意見を述べました。その結果、裁判所により裁量免責を獲得することができまいした。

    弁護士のコメント

    ギャンブル依存症の方に寄り添い、それでもあきらめずに取り組んだ結果無事に免責を獲得することが出来て良かったと率直に思います。
    ご相談者様は1年4カ月以上ギャンブルをしていない状態で業務終了に至りました。また、最後の面談で、これからも回復を続けていくことの重要性をお互いに確認しあいました。
    また、弁護士のかかわり方一つでギャンブル依存症の回復にも大きな違いがでると実感した事件でもあります。
    2回目の破産であり、ギャンブル、廉価販売、偏波弁済など多数の問題を抱えていましたが、それでも免責を獲得することが出来た点でこの事件の示す前例としての価値は大きいと思います。
    ギャンブルをしてしまったこと、それによって多重債務に陥った過去はどうしたって変えられません。しかしながら、未来は変えることができます。また、未来における過去の見方も変えることができます。相談者様が回復を地道に続けていったことが免責を獲得する力になったのだと思います。
    ギャンブルが理由だからといって回復や経済的再生をあきらめずにこれからも頑張っていきたいと思います。

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