【自己破産・同時廃止】相談者様ご本人の回復状況に配慮しながら、破産申し立てを遂行し、同時廃止手続による免責を勝ち取りました。
2022-06-24
相談者様は、20代の女性です。当事務所に相談に来たときは、深刻なうつ病により仕事に就いていませんでした。収入がなくなってしまい、生活のために借入をするようになり、多重債務に陥ってき・・・
相談事例
相談者様は、本件依頼時20代の女性です。当事務所に相談に来たときは、深刻なうつ病により仕事に就いていませんでした。
相談者様は、これまで、事務職や接客業で長年働いており、その生活の中でクレジットカードを使って買い物をしていました。ところが、体調不良により働ける日が減ったため、それに伴って収入が減少しました。
その後、相談者様は、知人とのトラブルを抱えるようになったり、身内とも疎遠になっていったりするなどして、これらの事情と体調不良から、うつ病に罹患しました。その結果、相談者様は働けなくなり、収入がなくなってしまいました。そのような中で、生活のために借入をするようになり、多重債務に陥ってきました。
最終的に知人とのトラブルは解決したものの、うつ病が回復することはなく、働けないまま債務が膨らんでいきました。そして、フリマアプリで私物を売却したり、友人の援助によって生活をつないでいましたが、それでも足りず、そのうちに家賃を滞納して建物を明渡請求の裁判を起こされてしまいました。
そこで、生活保護を受給して、引っ越しを行うとともに、多重債務問題を解決するために、当事務所の弁護士に相談し、本件事件を委任しました。
解決結果
1.最初に事務所にきたときの面談では、相談者様は、素人目にもわかるくらいうつ状態でした。記憶も混濁した状態で、話すことも大変で、受任手続をとることが精一杯の状況でした。そこで、受任後、とにかく債権者に受任通知を送り、借金の請求を止めて、相談者様のうつ病の改善を待つことにしました。
2.途中、携帯電話が止められてしまい、連絡がとれなくなってしまうなどの混乱もありましたが、債権者からの請求が止まったことで、相談者様は少しずつ生活の平穏を取り戻していきました。徐々に破産申し立てに必要な家計簿もつけられるようになっていき、記憶の状態も少しずつ改善していきました。そこで、体調に応じて、休み休みではあるものの、なんとか打ち合わせをもち、時間はかかりましたが、何とか破産申立までこぎつけることができました。
3.破産申立後は、記憶の曖昧な部分を裁判所から様々尋ねられましたが、何とか記憶や客観的な資料を頼りに裁判所に一通りの説明を行うことができました。その結果、同時廃止手続を経て免責許可を勝ち取ることができました。
弁護士のコメント
多重債務問題は素早く処理するのが望ましいとされていますが、今回はそのセオリーに反して相談者様の回復を優先しました。相談者様に負担をかけて、うつ病を悪化させることは避けたかったからです。
最初に事務所で面談したときには、本人の表情もすぐれず、正直破産申し立てまで辿りつけるかどうか不安でしたが、まずは、受任通知を送って債権者からの請求をとめて、生活の平穏を取り戻してもらうことで、何とか、破産の準備ができるまでになり、破産申立にたどり着くことができました。
多重債務問題は精神疾患を伴うことがあります。個別の相談者様の個別の事情に向き合いながら事件に対応していく必要があると改めて思いました。
相談者様には十分に治療していただいて、新たな人生を歩んでほしいと願っています。