【スピード・満額回収】スクール商法の詐欺被害案件で、受任後15日で被害金額133万円全額の回収をすることができました。
2022-05-06
20代の男子大学生は久しぶりに高校時代の友人から連絡がありプログラミングスクールの紹介を受けました。その後、運営会社である相手方の代表者と会い、実質賃金が下がり続けることなど不安をあおられ、IT人材ニーズが拡大していることを踏まえてWEBスキルを習得して稼ぐ力を身につけていく必要があるとの説明を受け・・・
相談事例
相談者様、本件依頼時20代の大学生の男性です。
相談者様は、高校時代の友人から連絡を受けて、久しぶりに連絡をとったところ、その友人からプログラミングスクールの紹介を受け、その運営会社である相手方の代表者と、喫茶店で会って話を聞きました。
相手方の代表者からは、資料をもとにこれから実質賃金が下がり続けることなど不安をあおる説明を受けるとともに、IT人材ニーズが拡大していることを踏まえて、WEBスキルを習得して稼ぐ力を身につけていく必要があるとの説明を受けました。そして、相手方代表者は、「特定のスキルだけ学べば稼げるわけではない」、「客観的なフィードバックやアドバイスがもらえ、継続できる状況下でないとスキルは習得できず、独学ではスキルの習得はできない」などと資料をもとに、相手方のプログラミングスクールに通って必要なスキルを複数習得する必要がある旨を述べてきました。また、契約した人には案件が提供される旨も勧誘の中で説明されました。
そこで、相談者様は、相手方の話を信じて、132万円のプログラミングスクールを申し込み、クレジットカードと足りない部分はキャッシングでお金を用意して、クレジットカードと現金手渡しにて133万円を支払いました。差額の1万円は間違えて多く渡してしまったものです。
契約したあとに、相談者様は相手方の会社を調べたところ、説明段階では昔からある会社だと言われていたにもかかわらず、実際には最近できた会社であったことから不信を抱きました。その後、解約を申し入れたところ、クーリングオフ期間が過ぎていることからやめられないと言われてしまいました。
そこで、相談者様は、当事務所の弁護士に本件について相談しました。そして、支払った代金の回収をするべく、弁護士に依頼をしました。
解決結果
1.弁護士は,相手方及びクレジットカードの決済サービス会社、カード会社に対して以下のとおり、内容証明郵便通知書を送りました。
2.相手方への内容証明郵便通知書では、まず、特定のスキルであっても稼げるものはあり、特定のスキルを学んでも稼げないとして勧誘することは詐欺又は不実の告知であることを主張しました。また、独学でスキルを身に着け、フリーランスで稼ぎを得ることは珍しいことではなく、必ずしも客観的なフィードバックやアドバイスがもらえ、継続できる状況下でしかスキルを習得できないというわけではなく、この意味でも不実の告知や詐欺に該当することを主張しました。これらの理由から消費者契約法又は民法による契約の取消に基づく不当利得返還請求と不法行為に基づく損害賠償請求を行いました。また、本件契約の勧誘方法が訪問販売と業務提供誘因販売に該当すること、業務提供誘因販売のクーリングオフ期間は20日であり、相談者様のクーリングオフは期間内になされていることを主張しました。そのうえで、訪問販売や業務提供誘因販売による場合には契約書面に特定商取引法に記載されている事項が完全に記載されていることが必要であり、そうでない場合にはクーリングオフ期間が開始されないこと主張しました。そして、相手方の契約書面には、①相手方の電話番号が記載されていないこと、②契約締結担当者の氏名が記載されていないこと、③本件契約の契約書には、勧誘資料にある、サービスが全て記載されておらず、商品や役務の種類が記載されていないこと、④支払方法についてクレジットカードと現金振込と契約書には記載されているが、実際には振込ではなく現金手渡しによって行われており、契約書の記載内容が間違っていることを指摘し、契約書面に不備があることからクーリングオフ期間が開始していないと述べて、改めてクーリングオフの意思表示を行い、クーリングオフによる返金を行いました。
3.決済サービス会社には、相手方の詐欺やクーリングオフを理由とする決済の取消を求めました。カード会社には契約の取消やクーリングオフによって契約がなくなったことから割賦販売法上の抗弁の接続によるカード代金の支払拒絶を主張しました。
4.そうしたところ、決済サービス会社から相手方へ連絡が入り、相手方から弁護士のもとに連絡入り、クーリングオフを認め、すぐさま指定された弁護士の預り金口座に返金するとの返事があり、133万円全額を回収することができました。依頼してから15日でのスピード回収となりました。
弁護士のコメント
今回は、クーリングオフの主張を詳細にしたことやカード会社や決済サービス会社をうまく巻き込めたことが早い解決につながった要因だと思います。
若者の消費者被害の場合には、手持ち財産が少ないことから、悪質業者がクレジットカードやキャッシングを利用させて、若者の財産や支払能力を超えた被害を与えることが多くあります。その結果、下手をするとそのまま多重債務問題にまで発展してしまい、就職して働く前からクレジットカードが作れない、ローンが組めない、返済のアルバイトために就職活動ができないなどの問題を抱えてしまうことがあります。若者の消費者被害のダメージは深刻です。
今回の相談者様は学生でした。成人年齢の引き下げが始まったこともあり、こういう若者を狙った消費者被害はきちんと潰していかなければならないと改めて思いました。