解決事例
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解決事例報告Solution case report

  • 勤務先の社長によるセクハラ被害等について社長に解決金200万円を支払わせました。
    2021-04-22
    30代の女性相談者様は、相談者様は結婚していたにもかかわらずパート社員として働いていた勤務先の社長から一方的に好意を抱かれセクハラを受けるようになり・・・

    相談事例

    相談者様は、本件依頼時30代の女性です。平成24年から期間の定めのない、パート社員として相手方業者で働いていました。
    しかしながら、相談者様は結婚していたにもかかわらず、相手方業者の社長(以下、「相手方社長」と言います。)は、相談者様に対して「好きです。」と告げたことを皮切りに、継続的に好意を伝える旨の発言や旅行や食事へと誘う発言などをしてきました。このような発言は立場の弱い一パート社員にすぎず、継続的に働く意向をもっていた相談者様に対して、相手方社長が社長の立場を利用して告げたものです。
    相談者様は、それらの発言を明確に拒絶したかった一方で、それをすると相手方業者で働けなくなったり、職務上の不利益を被ったりする可能性があると感じざるをえず、相談者様は強い困惑と恐怖を感じるとともに、相手方社長の発言に対する対応に苦慮せざるをえませんでした。
    その後、相手方社長は、相談者様に対して「あなたは母親としてはぬるいと思います。もっと必死に子育てしている母親はたくさんいます。僕はあなたにはもっと他で世間の厳しさを学んだ方がいいと思いした。他で働いたらどうですか?」などと告げて、母親としての相談者様を侮辱したうえで、業務上と関係ない理由で相談者様に対して退職を勧めるなどして、相談者様を困惑と恐怖に陥れました。
    その後、相談者様が経済的に困窮したことから相手方社長に相談したところ、社長は相手方業者から相談者様に金銭を貸し付けることにしました。そして、社長室でその借用書を作成する際に、相手方社長は、相談者様に対して、「あなたとしたいです。」、「俺ほんまに(相談者様の名前)のことが好きやねん。」、「10万円払うし無理?」などと金銭を対価に性交渉を持ちかけました。それを相談者様が拒絶すると、相手方社長は、「じゃあ、10万円でデートして。」と告げました。それも相談者様が拒絶すると、相手方社長は「じゃあ、もう、(相談者様の名前)のことは諦めるから最後にハグしてもいい?」と言いました。相談者様は、それについても「嫌です。」と拒絶しました。そうしたところ、相手方社長は、相談者様に突然、無理矢理抱きつきました。相談者様が「やめてください。」と言うと、相手方社長は「だって俺、(相談者様の名前)といたら落ち着くんやもん。許して。」と言いました。それに対して、相談者様が「私は嫌です。」と答えたところ、相談者様はようやく相手方社長の魔の手から解放されました。
    しかしながら、相手方社長はその後間もなく、社長室内で再度、相談者様に抱きついて接吻をしようとしてきました。相談者様は顔をそらすとともに、手で相手方社長を押しのけて何とか相手方社長から解放されました。その後、借用書が完成して、相談者様が勤務に戻ったところ、相手方社長は、相談者様が勤務をしているのに乗じて「捕まえた!!」と言いながら、相談者様に後ろから抱きつきました。そして、自ら「ごめん。」と言って相談者様から離れました。そして、その日の帰りにも相手方社長は、相談者様に好きだという内容のLINEを送りました。
    相談者様は、この日のことを通じて、お金に困っている弱みに付け込んで性交渉やデートを申込み、それが拒絶されると、無理矢理抱きついたり、接吻をしようとしたりするなどの行為に及んだことに、困惑、悲しみ、悔しさ、怒り及び恐怖を含む強い感情を抱かざるをえませんでした。
    そして、相談者様は、相手方社長に上記借金のことは内密にしてほしいと念を押していたにもかかわらず、相手方社長は、第三者に対してそのことを口外し、その結果として相談者様は、他の従業員らから相手方社長との交際関係を疑われるようになりました。なお、この時点までに相談者様は相手方業者への借金を返済しています。ここに至り、相談者様は、相手方社長のこれまでの言動に強い怒りと不信感を抱くようになり、相談者様は相手方業者を退職しました。
    相談者様は退職に追い込まれた無念から、本件について当事務所の弁護士に相談をし、本件事件を委任しました。

    解決結果

    1.弁護士は、受任したその日のうちに、上記の事実関係を記載した相手方業者と相手方社長を連名の相手方にした内容証明郵便通知書を送付しました。そうしたところ、すぐに相手方らに代理人弁護士が就任しました。
    2.相手方弁護士は、こちらの事実関係を概ね認めたうえで示談したい旨を述べてきました。そして、相手方弁護士と交渉をして、結果として解決金200万円を連帯して支払うとの合意書を相手方業者と相手方社長との間で交わしました。この際に相手方は本件についての秘匿条項を入れてほしいと述べてきましたが、こちらは退職後にも残った相手方社長との交際疑惑付き合いのある元従業員らへの誤解を解く必要があったことからそれを拒否したところ、守秘条項は外すことができました。
    3.その後、相手方社長から合意書で定められた期日までに、相手方社長名義で200万円の支払がなされました。どうやら、今回の件は相手方社長個人に起因するものであるため、相手方社長が個人的にお金を用意したと思われます。内容証明郵便通知送付から入金による事件解決まで2カ月と3日でした。

    弁護士のコメント

    比較的早期に解決することができました。相談者様にも処理結果を喜んで頂くことができました。
    相手方社長の立場を利用したセクハラ被害は悪辣でひどいものです。相談者様の苦痛はどんなに辛いものであったかと察するに余りあります。正直、同じ男性として、一経営者として軽蔑する以外の感情は持てません。
    今回の相談者様は、早期解決を希望されたため示談交渉という解決手段をとりましたが、LINEのトーク画面などセクハラ被害が立証できる証拠がかなり豊富にあったので、強制わいせつ罪で刑事告訴してもよかった案件だと思っています。
    また、こちらに刑事告訴などのより苛烈な手段をとらせないという意味で、事実関係を認めて、最初からある程度まとまった金額を提示して、早期に示談交渉に持ち込み、相手方代理人のやり方は企業側の代理人弁護士として、敵ながら見事なものだったのではないかと思っています。

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