解決事例
Examples of solutions

解決事例報告Solution case report

  • 上司からのパワーハラスメント受けて、一旦は退職を決意しましたが、その後、部署転換を勝ち取り退職を回避することができました。
    2021-03-31
    新たな支援学校に 転任後に慣れない環境の中で上司からのパワーハラスメント受け病院に通院したところ、うつ状態との診断を受け3カ月の病気休暇をとることになり・・・

    相談事例

    相談者様は、本件依頼時30代の女性で、公立の支援学校である相手方の中学部で教員をしていました。相談者様はその年度に新たな支援学校である相手方学校に転任してきたばかりでした。
    相談者様は、転任後に慣れない環境の中で精一杯仕事を頑張っていました。相談者様は、相手方学校の中で備品や金銭の管理業務について業務を転任時から行っていたのですが、前任者も相手方上司もその業務について十分把握していなかったことから十分な引継ぎがなされず、備品や金銭の管理方法について特に決まったルールがないと認識していました。そのような中で、相手方上司から備品や金銭の管理方法について職員会議の中で新たな提案をしてほしいと言われたので、相談者様は備品と金銭の管理方法について新たな提案を職員会議の中で行いました。ところが、相談者様が提案したところ、実は、相手方学校においては決まった方法によって備品や金銭の管理されており、相談者様の提案は的外れなものということが判明。職員会議は一時大きく混乱する事態となってしまいました。
    相談者様は、職員会議の場で大きな失敗をしてしまったことにショックを受けていました。そんな中、職員会議後、落ち込む相談者様のもとに相手方上司がやってきて、相談者様に対して「「さっきの良かったよ。私もっと好きになったわ。周りも先生のファン増えたと思うよ。いやー、良かったよ。メンタル大丈夫。」などと薄ら笑いを浮かべながら、相談者様に馬鹿にするように話しかけてきました。相談者様は、事前に備品や金銭の管理業務について相手方上司に尋ねていたにもかかわらず失敗に追い込まれたうえ、そのことを馬鹿にされて大きな精神的ショックを受けるとともにその上司に対して強い不信感を抱きました。その結果、病院に通院したところ、うつ状態との診断を受け、相談者様は3カ月の病気休暇をとることになりました。
    その間、相談者様の夫が相手方学校や相手方上司と話し合いをしましたが、話は全く進みませんでした。そうしたところ、相手方上司が代理人弁護士を立ててきました。そこで、相談者様は、当事務所の弁護士に相談し、本件事件を依頼しました。

    解決結果

    1.弁護士は、相手方学校を巻き込まずに早期解決を図るために、まず相手方上司の弁護士に対して交渉することに決め、示談金を支払うことを内容とする示談を提案しました。その際の提案した示談金額は大事にしたくないとの相談者様の意向からごく少額なものとしていました。
    しかし、相手方上司は、形式的な謝罪はするものの、示談金の支払については一切拒否しました。そのうえ、裁判等の法的措置をとるならば、相手方学校を管轄する地方自治体を訴訟に巻き込むことを告げるなど挑発的な文書を送付してきました。この文書の狙いは、勤務先を管轄する地方自治体を訴訟に巻き込むと告げることで、そこに勤める相談者様に訴訟を躊躇させることにあることは明白でした。
    2.このように相談者様は、相手方学校を巻き込まずに穏便に終わらせようとしていましたが、解決をすることはできませんでした。一方病気休暇の期間も終了に近づいてきたので、相手方学校の人権問題対策委員会による聞き取り調査と相手方学校との間における復職に向けての話し合いが持たれ、弁護士と相談者が参加しました。十分に準備して臨み、相手方上司の発言はパワーハラスメントが該当すること、今後相手方上司の元で働くことはできないので転勤や部署転換を希望する旨を相手方学校に訴えました。その際に、相手方が送付してきた挑発するような文書についても提出して、相手方上司が全く反省していないことも主張しました。
    しかしながら、こちらの懸命な訴えにも関わらず、人権問題対策委員会の結論は、相手方上司の発言はパワーハラスメントとはいえないというものでした。そして、それを受けて相手方学校も転勤や部署転換には応じられないと告げてきました。そこで、相談者様は、相手方学校に見切りをつけて、病気休暇終了後に有休消化した後に退職することを決意しました。
    3.そして、退職願を提出するように要請されました。弁護士としては、このまま何もできないまま終わるのは腹ただしかったので、退職願にこれまでの経緯を詳細に記載して教育委員会に提出しました。
    そうしたところ、相手方学校の配置転換を認めないという判断に教育委員会が異議を唱え、相手方学校に部署転換を認めるように指示しました。その結果、相談者様は中学部から小学部への部署転換が認められ、相談者様は退職を回避することができました。

    弁護士のコメント

    相手方上司との話し合いが上手くいかず、どのようにこの事件を落ち着かせるかとても不安でしたが、パワーハラスメントの被害にあった相談者様が嫌な相手方上司と別の職場に部署変更することができてよかったです。相談者様にも満足していただけました。最後まで状況を変えるために、あがいたことが良い結果につながったのだと思います。
    相手方上司との関係については、示談せずにしばらく放置し、そのうち気が向いたら損害賠償請求するようにしました。部署転換後暫くしてから、相手方上司の弁護士から示談の申込がありましたが、誠意が全く感じられなかったので拒否しました。相手方上司にはいつか訴訟されるかもしれないという恐怖を味わってもらいながら過ごしてほしいと思います。

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