投資ファンド詐欺事件で被害金額よりも多額の被害回復を果たしました。
2017-04-06
見知らぬ業者からのファンド出資の電話が始まりでした。
相談事例
相談者様は、被害当時60代の男性です。
相談者様は、今回の被害にあう前に別の出資のトラブルで損害を被っていました。そうしたところ、見知らぬ業者から電話がありファンドに出資をすれば、「被害金を取り戻すことができる。」、「特別配当金が支払われる。」などと告げられ、複数回にわたってファンドの出資金名目で合計3000万円もの金銭を指定された相手方業者の口座に振り込んでしまいました。しかし、3000万円もの金銭を支払ったにもかかわらず、被害金の取り戻しも特別配当金の支払いも実現しませんでした。
相談者様はこのような取引の経緯に不審を覚え、弁護士に相談した結果、自分が詐欺の被害にあっていると理解し、本件事件を依頼しました。
解決結果
弁護士は、受任後すぐに相手方業者に内容証明郵便通知書を送付するとともに、振込先の預金口座に対する口座凍結要請を行いましたが、相手方から何の返答もありませんでした。
その後、相手方業者、関連業者、その他この件の被害に関与した人物合計11名を被告として訴訟を提起しました(請求額は弁護士費用相当損害金を含め3300万円)。被告の中にはファンドに関与した税理士も含めました。また、それとほぼ同時期に凍結された預金口座に対して仮差押えを実施し、合計約1100万円の預金の仮差押えを奏功させました。一方、訴訟については、どういうわけか被告ら11名ともにまともな反論もなく全面勝訴判決となりました。そして仮差押をした金銭約1100万円を判決に基づく強制執行手続で回収しました。
その後、相手方らに対して代理人弁護士が就任しました。残りの被害回復について交渉した結果、相手方が当方が把握していなかった凍結済みの預金の情報を開示し、当方がその情報をもとに差押を行うとともに、その後に残った債権を相手方が別途支払うという和解を成立させました。そして、相手方らから開示された情報もとに当方が第2回目の差押を行い、追加で約1058万円を回収しました(ここまで合計2170万1278円の回収)。
ところが、その後、相手方ら代理人が辞任してしまい、結局、相手方らは残りの被害金の支払をしてきませんでした。そこで、相手方らの財産を調査し、第3回目の差押えを行って、相手方の一人である税理士の預金や生命保険の解約返戻金から合計368万9730円を回収しました(ここまで合計2539万1008円の回収)。
その後、一番資力のありそうなその税理士に対して残りの被害回復の交渉を持ちかけところ、残りの被害金760万円余りのうち600万円を分割で支払う合意をすることができ、600万円を無事に回収することができました。
最終的に、当初の被害金額3000万円に対し、相手方らから合計3139万1008円を回収することができました。
弁護士のコメント
詐欺によって奪われた金額よりも多額の金額を回収することができたので、解決結果に満足しています。民事保全、裁判、強制執行、交渉と弁護士として全ての執りうる手段を使えたことで弁護士らしい事件処理ができたのではないかと思います。もちろん、ご相談者様にも満足して頂けました。
この事件でここまでの金額を回収できたのは、裁判の被告に関与した税理士を入れたことだと思います。訴訟提起の段階で税理士を入れるかどうかは迷いましたが、ここで臆さずに被告に加えたことで最終的にここまでの回収をすることができたのだと思います。