解決事例
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解決事例報告Solution case report

  • 建物明渡の際に家主から請求された未払家賃と 原状回復請求等を半額以下にした上、分割払いの和解を成立させました。
    2017-04-29
    賃貸マンションを借りる際に連帯保証人になったことから始まりました。

    相談事例

    相談者様は、約20年前に相談者様の親族(以下、「借主」と言います。)が賃貸マンションを借りる際に連帯保証人になりました。その後、相談者様は、借主と特に連絡をとらなくなっていました。
    そうしたところ、相談者様の知らないうちに借主が死亡しました。家主は、借主の相続人に対してマンションの明け渡し、未払家賃の請求などを求めたところ、マンションの明け渡しは実現したものの、未払家賃や原状回復費用については相続人が支払いませんでした。そうしたところ、家主が弁護士をつけて借主の相続人と連帯保証人である相談者様に対して訴訟提起を行い、未払家賃や原状回復費用等合計122万円余りを請求してきました。なお、訴訟提起がなされるまでに家主から相談者様に何の連絡もありませんでした。訴状を受け取った相談者様は、当事務所の弁護士に相談し、本件事件を依頼しました。

    解決結果

    相談者様が借主の相続人の状況を確認したところ、相続人からの支払いは期待できそうにありませんでした。そして、相談者様の現状では、相手方から請求されている合計122万円余りの金額を一括で支払うことは困難でした。そこで、何とか分割払いの和解に持ち込めないかということを念頭に訴訟対応を行うことになりました。
    そこで、弁護士が、最高裁判所の判例や国土交通省のガイドラインに基づいて、家主側の訴状や家主側の広告を検討したところ、家主の原状回復に関する請求には、通常損耗分による費用や原状回復にあたってグレードアップされた部分に係る費用を請求しているなど多数の問題があることがわかりました。原状回復請求について、最高裁は、「賃借人が賃貸借契約終了により負担する賃借物件の原状回復義務には,特約のない限り,通常損耗に係るものは含まれず,その補修費用は,賃貸人が負担すべきである」と判断しています。通常損耗とは、部屋を普通に使用して生じた損耗で、故意や過失ではなく損耗したことを言います。また、原状回復に際して従前よりもグレードアップした部分の費用についても借主が負担を負うことはありません。そこで、家主側の請求には上記のような不当な請求が多数あることを裁判上で主張しました。
    そうしたところ、裁判所から和解による解決をもちかけられ、相談者様が合計60万余りの金額を月額2万円ずつ分割で支払うとの和解が成立しました。

    弁護士のコメント

    相手方の請求を半額以下にすることできたうえ、長期分割の和解を勝ち取ることができてホッとしました。家主側の請求を鵜呑みにしていたら危ないところでした。
    最高裁判所の判例法理と国土交通省のガイドラインを利用し、相手方の請求の不当性を多数指摘することが、事件処理が上手くいったポイントだったと思います。

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