運転免許証の写真を悪用されたことによるトラブルから解放されました。
2017-09-22
毎日使っていたクレジットカードが使えなくなり気づいたトラブルです。
相談事例
相談者様は、20代の女性です(本件事件当時)。
ある日、それまで毎日使っていた相談者様のクレジットカードが使えなくなりました。カード会社に問い合わせると住所や電話番号の情報が知らないところで変更されていることが発覚するとともに、クレジットカードが強制解約となっていたことがわかりました。
相談者様は、不審に思って信用情報機関で信用情報を開示してみたところ、10か月ほど前から、身に覚えのない多数のクレジットカードが発行され、それらのカード利用料金が滞納していることが発覚しました。また、カード会社に問い合わせを続けていくうちに、見知らぬ第三者(以下、「犯人」と言います。)が相談者様の運転免許証の写真を使って預金口座やクレジットカードを作り、それを使って携帯電話の契約などしていることが判明しました。相談者様が自分で交渉したところ、一部のカード会社は事情を理解してくれ、相談者様への請求を取り止めて信用情報も抹消してくれましたが、他のカード会社は相談者様への請求を維持しました。
また、口座作成が発覚した金融機関には口座を解約してもらったものの、信用情報では預金口座は調べきれないことから、相談者様は、自分が発見した口座以外にも自分名義の口座が勝手に作られて犯罪に使われてしまっているかもしれない、という不安に駆られました。
また、携帯電話等の通信会社も思うような対応をしてくれず、自分名義の携帯電話が犯罪に使われるのではないかとの懸念を抱きました。
相談者様は、自分一人でこの問題を解決することに限界を感じ、当事務所の弁護士に相談をしました。
解決結果
1.弁護士は、受任後すぐに請求を維持しているカード会社に対して、クレジットカードが運転免許証の写真を悪用して発行されたもので、相談者様がカードを作成利用したものではないことを主張し、カードの利用停止措置、カード利用料金の請求撤回及び信用情報の削除を要請しました。そうしたところ、多少の時間はかかりましたが、全てのカード会社が、カードの利用停止、利用料金の請求撤回及び信用情報の抹消に応じました。
2.また、弁護士は受任後すぐにネットバンキングを中心に業務を行っている比較的大手の金融機関に対して、名義の冒用された通知人名義の口座の有無を確認して、口座が存在した場合には約款に基づく利用停止措置をとること、悪用されている相談者様の運転免許証の写真を使った取引の拒絶を要請しました。その際に、こちらの要請を無視して、口座の利用を継続させた場合、口座が詐欺に利用されるなどの事態が発生したときには金融機関にも損害賠償責任が発生しうることを述べておきました。また、相談者様にも自分の住所周辺にある主な金融機関を回っていただき、自分名義の口座が開設されていないかどうかを確認して頂きました。
そうしたところ、既に発覚している口座以外の預金口座については口座開設の事実は確認できませんでした。
3.また、勝手に作成、利用されていたクレジットカードの明細に出てきた携帯電話などの通信会社に対して内容証明郵便通知書を送り、相談者様名義の契約が存在するかどうかを確認し、確認できた場合には直ちにその通信等の停止及び契約の解約手続きを行うこと、通知人の名義が冒用されていると疑われる今後の取引を一切拒絶して頂くことを要請しました。また、その際に当該要請を無視して通信契約を維持した結果、当該通信機器が犯罪に利用された場合に当該通信会社が損害賠償責任を負う場合があることを通知しました。また、通信契約会社に対しては、犯人が滞納していた分ことによって発生した通知人に対する請求を全て撤回するよう交渉も行い、相談者様名義の契約があった通信会社は全て請求を撤回しました。
4.また、この間、犯人についても情報特定する作業を行いました。弁護士会照会などによる調査の結果、犯人は、以前通知人が務めていた職場の同僚であることが判明しました。相談者様は、従業員ではなく、一顧客の立場としてその職場を利用した際に、契約に必要な本人確認資料として運転免許証を渡したことがあり、犯人はそのときに運転免許証を撮影して悪用したものではないかと思われます。 そして、犯人とその関係者に対して、慰謝料の支払と運転免許証の写真を利用しないことを要請する通知書を送りましたが、特に反応はありませんでした。ただ、金融機関やカード会社に通知書を送るなど一連の行為が実を結んだのか、警察から犯人は逮捕されたとの情報が相談者様のもとに寄せられました。ここで、事件処理が一段落したことからここで一旦事件を終了することとなりました。
弁護士のコメント
信用情報が抹消されたことで、相談者様は再びクレジットカードを利用することができるようになりました。また、多額のクレジットカード料金や通信会社に対する支払いも回避することができました。また、犯罪に巻き込まれる恐れもほぼなくなり、安心して日々の生活を送ることができるようになっています。生活の平穏を取り戻すことができ、ご相談者様には大変に喜んでいただいております。
今回の事件で工夫したのは、金融機関や通信会社に対してこちらからの通知を無視した場合に損害賠償などリスクを負う可能性がある旨を告知したことです。これによって、金融機関や通信会社にも当事者意識をもって速やかな対応をしてもらうことができたのではないかと思います。
また、これまで今回の事件とは逆の、詐欺事件において免許証を貸した人物や携帯電話や口座を譲渡した人物の責任追及する事件を取り扱ってきた経験があったからこそ、相談者様に生じていた数々の問題点に対して適切にアプローチをすることができたのだと感じています。