株式情報提供サイト被害で、実被害金額以上の被害回復ができました。
2017-10-05
株式の取引を始めたいと考え株式情報提供サイトに登録したことから始まりました。
相談事例
1.相談者様は、40代の男性です。相談者様は、株式の取引を始めたいと考えており、株式取引のノウハウを探していました。そうしたところ、相談者様は、相手方業者の運営する株式情報提供サイト(以下、「本件サイト」と言います。)を見つけて、本件サイトに登録を行いました。
そうしたところ、本件サイト上のメールで、本件サイト内で高名な情報源とされている人物が提供する株式の銘柄情報が、本件サイト内で購入できる50万円相当のポイントで手に入る旨の勧誘を受けました。そのメールには、情報提供する銘柄の株式が、購入後20日で購入時より価格が8倍になる旨が記載ありました。また、その後も必ず儲かる旨の煽るようなメールが相談者様のもとに届きました。そこで、相談者様は、その株式の銘柄情報を獲得すれば利益が上げられると考えて、本件サイト内で50万円分のポイントをクレジットカード決済にて購入し、その銘柄情報をそのポイントを使って手に入れました。
その後、相談者様は、本件サイトから提供された銘柄情報にしたがって、ある株式合計1万3000株を1株の平均取得単価176.7円で購入し、229万7000円を購入代金として支払ました。
2.ところが、メールに記載されていた20日間が経過してもその株式は値上がりせず、むしろ値下がりしてしまいました。そこで、相談者様は本件サイトに対して不審を抱き、当事務所の弁護士に本件事件を委任しました。
解決結果
1.本件サイトには相手方業者名の記載がなかったことから、弁護士は、本件サイト内のデータを保存後、クレジットカードの決済代行業者に対してポイント購入に用いたクレジットカード決済の取消と本件サイトの相手方業者の情報開示を求めました。また、クレジットカード会社には取消とチャージバックを要請しました。決済代行業者は相手方業者の情報を開示したものの、「チャージバック要請がされている間は、その結論が出ない限り取消には応じられない」としてクレジットカード決済の取消に応じませんでした。クレジットカード会社にチャージバックの結論はどのくらいで出るのかを確認したところ、チャージバックの結論には2、3か月時間がかかると回答されてしまいました。
2.弁護士としては、銘柄情報料による50万円のクレジットカード債務の免除だけでなく、購入した株式の取引損についても回復するべきであると考えていましたが、クレジットカード会社のチャージバックの判断を待っていては、相手方業者が逃亡する恐れがあると判断し、早々に訴訟提起することにしました。
3.弁護士は、相手方業者の金融商品取引法上の無登録営業(投資助言業)を柱として、被告らに責任追及する訴状を作成しました。被告として、相手方業者、業者の役員、本件サイトの運営責任者だけでなく、決済代行業者も加えました。そうして訴訟を提起したところ、訴訟提起と前後して本件サイトは消滅して見られなくなってしまいました。また、訴訟提起後に、購入した株式の価格が一株約135円まで大幅に値下がりして、訴状に記載した損害額よりもご相談者様の損害はさらに拡大してしまいました。一方で、訴訟提起後まもなくクレジットカード会社に対するチャージバック請求が奏功し、ご相談者様の50万円のクレジットカード債務は消滅しました。
4.その後、訴訟を提起されたことを知った決済代行業者が訴訟外での和解交渉をもちかけてきました。決済代行業者は、当初、訴状に記載した株式取引損30万8100円、被告全員への訴え取り下げ、守秘条項付きの和解案を提案してきました。弁護士は、本件は徹底的に闘うべき事案と考えていたことから、損害が拡大したことや慰謝料などの意味合いを込めて80万円を一括払い、守秘条項はつけない旨の和解案を提案しました。そうしたところ、決済代行業者が弁護士の提案した和解案に応じて80万円の和解金を支払ってきたので、被告ら全員に対する訴えを取り下げて事件は終了となりました。
5 相談者様は、相談前はクレジットカード会社に対して50万円の債務を負い、その後少々回復したものの約46万円の株の取引損を抱えていましたが、弁護士の活動によって50万円のクレジットカード債務は免除されたうえ、80万円の和解金を手にすることができました。結果として、実際の損害よりも約34万円も多く被害回復をすることができました。
弁護士のコメント
相手方業者や決済代行業者に対して勝訴判決を獲得したかった事案ではありましたが、時間をかけて全面勝訴した場合でもこれだけの金額を得ることは困難であった事案でしたので、ご相談者様の利益を考えて和解による解決を選択しました。
悪徳業者やそれを支える事業者に被害による収益を残さない、むしろ損失を与えたという意味で良い解決だったと考えています。相談者様にも想像以上の解決に大変に喜んで頂き、私としても嬉しく思っています。