解決事例
Examples of solutions

解決事例報告Solution case report

  • 未成年者取消によってクレジットカードの請求を 取り消すことができました。
    2018-01-24
    未成年の時に作ったクレジットカードが・・・

    相談事例

    1.相談者様は、本件依頼時20代の男性です。未成年のときにカード会社からクレジットカードの発行を受けたのですが、特に利用することもなく、発行されたときの台紙にシールで貼り付けられた状態のまま同居する両親に保管してもらっていました。
    2.そうしたところ、ある日相談者様のもとに見知らぬクレジットカードで情報商材と思われる27万円の商品を購入した旨のメールが入りました。相談者様は、そのメールを架空請求だと思い、特に何の対応もしませんでした。特に何らの商品が届くこともありませんでした。相談者様としてはこの件はこれで終わったものと思っていました。
    その後、しばらくしてから相談者がアルバイトの給与の入る通帳を記帳したところ、使ったはずのないクレジットカード料金が引き落とされていました。そこで、クレジットカード会社に対して、契約の不存在、未成年者取消権を内容とする通知とともに、決済の内容について問い合わせたところ、メールを送りつけた販売業者による取引であるとともに、その業者の商品を販売するモール業者の存在も発覚しました。そこで、相談者は販売業者とモール業者に対しても契約不存在、未成年者取消権の通知を発送しました。しかしながら、その後も、クレジットカード会社からの請求が続いたため、当事務所の弁護士に相談し、事件処理を依頼することにしました。

    解決結果

    1.弁護士は、未成年者取消が本来ならば適用されるべきであると考えたことから、クレジットカード会社に対して①当該クレジットカード決済の不存在と当該クレジットカード決済の未成年者取消権を理由に返金を求めるとともに、②販売会社との契約不存在、未成年者取消権を理由とする抗弁接続(割賦販売法30条4項)を内容とする通知書を送りました。
    2.そうしたところ、カード会社にも代理人弁護士が就任し、①個別のカードの利用は事実行為であり、未成年者取消権の対象となる法律行為ではない旨、②クレジットカードの発行については両親が承諾していたため極度額の範囲内での利用には親権者の同意がある旨、③当該サイトで正しいクレジットカード情報が提供されていることからカードの利用がないとは考えられない旨、④購入したものは情報商材であり、営業のためのものであるから割賦販売法の対象とはならない旨の反論がなされました。
    3.これに対して、弁護士は、①当該カード会社の規約によれば、利用後の事情によって当該カード利用を拒絶する旨が定められていることからカードの利用ごとに立替払契約(法律行為)が成立しているといえる旨、②親権者の同意は個別の取引ごとによって行われるものであり、両親がカードを保管していたという事情から両親の同意はあったとはいえない上、本件では27万円の高額取引がなされており、カードの発行をもってこのような高額取引にまで同意があったとはいえない旨、③本件では、相談者様は何らの商品も受け取っておらず、仮に相談者様がこれを受け取ったのであればクレジットカード会社においてその客観的な証明をするべきである旨、④クレジットカード会社が利殖目的であるとする根拠は、情報商材と推測されるような商品名のみであり、それだけを根拠に利殖目的が認められるはずがなく、仮にそのような主張を維持するのであれば、商品の具体的な内容を開示したうえで、具体的にどのような意味で利殖目的となるのかを明らかにしてほしい旨、⑤クレジットカード発行時の親権者の同意について記憶が定かではないが、念のためクレジットカード契約(発行)自体についても未成年者取消を行う旨を主張しました。
    4.そうしたところ、クレジットカード契約を解約してカードを返納することを条件に、クレジットカード会社は相談者様のクレジットカード決済を取消して既払い金12万2743円を返金、未払金17万円の請求を免除することになり、相談者様の被害全額の回復を図ることができました。

    弁護士のコメント

    最終的に相談者様の被害の完全回復を図ることができたことはよかったと思っています。今回は弁護士間で様々な主張の応酬がなされましたが、結果としてどのような理由からクレジットカード会社が決済の取消に応じたのかはわかりません。
    見通しが甘かったのかもしれませんが、当初、本件では未成年者取消権という強い武器があったため、クレジットカード会社がすぐに決済を取り消して終わるのではないかと内心では思っていましたので、ここまで念入りに反論、抵抗されたこと自体に驚きました。
    現在、成人年齢の引き下げの問題が広く議論されて若年消費者への保護が問題視されている中、収入のない未成年者にもクレジットカードは次々と発行されています。そのような中で未成年者を保護するための強い権利である、未成年者取消権という権利を容易に認めないというスタンスがクレジットカード会社という比較的規模の大きく社会的に影響のある会社から見えたことに、成人年齢引き下げ、若年消費者保護に対する不安を感じずにはいられませんでした。

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