給与所得者再生手続を使い、住宅を保持したまま、 債務の減免を勝ち取りました。
2019-04-02
勤務先から賃金や業務委託報酬を支払ってもらうことができなかったため、多重債務状態に陥ってしまい・・・
相談事例
相談者様は、本件依頼時40歳代の男性です。相談者様は、過去の勤務先から賃金や業務委託報酬を支払ってもらうことができなかったため、多重債務状態に陥ってしまいました。その後、再就職によって安定した収入を得るようになっていたものの、毎月の債務の返済のため厳しい生活を強いられていました。そこで、相談者様は、未払となっている賃金や業務委託報酬等の支払を求めて、当事務所の弁護士に依頼しました。その結果、裁判には全面勝訴することができたものの、その過程で相手方らに支払能力がないことが判明し、債権回収によって生活の再建はできませんでした。
そこで、相談者様は、弁護士に相談者様の経済的再生のための相談をしました。相談者は住宅ローンで購入した持ち家を所有しており、住宅ローンを支払っている最中で、家族のためにも何とか持ち家を処分することなく、経済的再生を達成したいと考えていました。そこで、相談者様が経済的に安定した収入を得ていること、持ち家を処分することなく経済的再生を達成したいとの強い意向を有していたことから、弁護士に個人再生手続を委任しました。
解決結果
1.弁護士は、受任通知を債権者に対して送付し、住宅ローン債権者以外の債権者には取立を止めてもらいました。その一方で、相談者様に、家計収支表をつけて生活費の見直しをしてもらうようにお願いするとともに必要書類を用意していただくようにお願いしました。
2.個人再生手続には小規模個人再生と給与所得者再生の2つがあります。今回のケースでは相談者様が安定して変動の少ない収入を得ていたこと、給与所得者再生を選択しても小規模個人再生の場合と比較して計画弁済額が変わらなかったことから、再生計画の認可決定に債権者の同意の要らない給与所得者再生を選択しました。
3.そして、必要書類をもとに給与所得者再生の申立を行ったところ、無事に再生計画の開始決定がおりました。申立時には、家計収支表をつけてきた成果もあり、毎月一定額の積立ができるようになっていました。
4.その後、裁判所から指定された期間までに再生計画案を作成し、無事に再生計画について認可決定が下され、認可決定は確定しました。
最終的に住宅ローン以外の債務額を788万6026円から157万7996円にまで減免され、これを3年の分割払いで返済していくことになり、相談者様の収入で十分に返済していけることになりました。
弁護士のコメント
今回は比較的事案が少ない給与所得者再生の案件でしたが、無事に再生計画の認可決定を獲得することができてよかったです。相談者様にも喜んでいただくことができました。
個人再生や破産手続では沢山の書類を相談者様にそろえて頂く必要があり、相談者様の再生にかける意欲が手続をスムーズに進めることができるどうかの大きな要因となります。この点、相談者様は、意欲的に必要書類の準備、家計収支表の作成、弁済原資の積立に取り組んでくださったので、スムーズに再生計画まで辿りつくことができました。