有利な条件で不動産の共有状態を解消することができました。
2017-07-27
不動産の2分の1の共有持分の共有状態を解消したい。
相談事例
相談者様は,遠方に居住している方です。 相談者様は,京都に不動産の2分の1の共有持分を持っていましたが、その不動産は同じく2分の1の持分を,相手方が賃料も払わずに単独で居住して使用していました。相談者様は,このまま共有状態を維持しても全くメリットがないことから,相手方に対して不動産を売却してその代金を折半するという提案や相手方が相談者様の持分を相応の金額で買い取るなどの提案をしましたが,相手方はこれらの提案に応じてもらえませんでした。 相談者様は、当事務所の弁護士に相談し,共有状態の解消するために本件事件を委任しました。
解決結果
依頼を受けて,弁護士は,相手方に対して訴訟提起を行いました。 請求内容には共有物分割請求に加えて,不動産を単独専有していることを理由とする賃料相当損害金の請求も含めました。 最高裁判所平成12年4月17日判決によれば,不動産の共有者は、当該不動産を単独で占有することができる権原がないのにこれを単独で占有している他の共有者に対し、自己の持分割合に応じて占有部分に係る賃料相当額の不当利得金ないし損害賠償金の支払を請求することができるとされています。この最高裁判決を根拠に相談者様の持分に対応した2分の1の賃料相当損害金の請求を行いました。 そうしたところ,相手方が相談者様の持分を買い取る旨の和解の希望をしてきたので,不動産の持分の評価額にある程度の上乗せをした金額で,相手方が共有持分を買い取る(価格賠償する)内容の和解が成立しました。 その後,相手方が約束された支払日までに価格賠償金を支払ってこなかったのですが,何度も督促を続けた結果、最終的に支払日までの遅延損害金を含めた全額を全て回収することができました。
弁護士のコメント
今回、事件処理がスムーズにいったのは,共有物分割だけでなく,賃料相当損害金も併せて請求したことが大きかったと思います。賃料相当損害金の請求は,単独で占有を続ければ続けるだけ膨れあがっていくものですので,相手方が下手な抵抗するなどして審理を遅らせれば遅らせるほど,自らの負担する金額が増えていくことになります。このように相手方の選択と抵抗の自由を制限する状況を作り出したことで,当方に有利な形で事件を解決することができました。この事件を通じて訴訟における戦略の重要性を改めて認識しました。