他の相続人が隠していた財産を発見し、 こちらの主張どおりの遺産分割を進めることができました。
2017-12-25
相続問題でのトラブルを解決してほしい。
相談事例
相談者様は、60代の男性です(本件事件当時)。
本件では、相談者様の母(以下、「母」と言います。)が最初に亡くなり、その次に相談者様の妹(以下、「妹」と言います。)が亡くなりました。妹には子供がいませんでした。そのため、相続人は相談者様の姉(以下、「姉」と言います。)、相談者様、妹の夫(以下、「夫」と言います。)の3名とする相続が発生していました。相談者様は、当事務所の弁護士に相談し,共有状態の解消するために本件事件を委任しました。
本件では、妹は亡くなる前に夫と別居して、母、姉、妹の3人で母の所有する不動産で生活していたという事情があります。
当初姉に代理人弁護士が就任し、妹の遺産である570万円余りの預金についての遺産分割を提示してきました。姉は、妹の生活費を負担し、入院関係費用や葬儀費用も負担していたことから本来ならば、姉がその負担を相談者様や夫に求めることができるが、早期解決のために姉は入院関係費用や葬儀費用だけをもらえれば十分であり、それ以外は夫と相談者様で分割取得することを提案してきました。
ただ、相談者様は妹の葬儀に呼ばれておらず、その費用を負担する義務があるのかなど姉からの提案に不審を抱いたため、当事務所の弁護士に相談しました。母親の遺産分割も完了していない中で妹の相続だけを進めるというやり方は不自然であり、姉からの提案には不審な点が多くみられるとの説明を受け、当事務所の弁護士に事件処理を依頼をすることにしました。
解決結果
1.弁護士は、姉の代理人弁護士と夫に受任通知を送りました。 そのうえで、相談者様のもと預金の調査をしたところ、妹には通知書に記載されていた以外に死亡当時約800万円もの預金があり、それが相続開始後に引き出されていたこと、その他にも亡くなる直前に350万円多額の預金が引き出されていたことが判明しました。
2.調査の結果、①母の唯一の遺産である不動産には姉が当時1人で居住しており、このまま住み続ける場合に、遺産分割をすると何らの金銭的な代償を姉が強いられる可能性が高く、母の遺産分割をすることについて姉にメリットがない、②姉が妹の財産を一部しか開示せずに遺産分割を進めようとしたのは、開示しなかった財産を密かに自分のものにしてしまう、という姉の意図が見えてきました。
このような状況下では、裁判所の関与のもとで遺産分割を進めるべきであると考え、遺産分割調停を家庭裁判所に申し立てました。
2.調停申立後、夫にも弁護士がつき、調停が進められました。 姉は、生前に母と妹の生活費を出していたこと、妹の入院費用や葬儀費用を負担したこと、母の不動産の補修費用なども自分が出してきたことなど主張し、母の不動産は代償金を支払うことなく自分が取得し、その他妹の葬儀費用や入院費用の負担分についても自分が取得すべきであるとの主張を示しました。
夫の側は早期解決のために比較的柔軟な解決を主張していました。 それに対して、相談者様は、母の不動産については売却し、姉には出て言ってもらうこと、仮に不動産を姉が手に入れるのであればこちらの納得できる金額を支払うことを主張しました。そして、姉の母や妹のためにお金を出してきたという言い分については冷静に反論し、姉の主張は認めず、一切妥協はしないという姿勢を一貫して示し続けました。
その結果、姉が、不動産を手に入れる代わりに、妹の預金を含むその他の遺産を全て手放した上、相当額の代償金を相談者様と夫に支払うという調停を成立させることができました。その結果、相談者様は金銭的には一切妥協することのない遺産分割をすることができました。
弁護士のコメント
こちら側で遺産の調査を行ったことで遺産が1000万円余りの財産が新たに発見されたことが良い解決に繋がったと思います。
また、相手方が寄与分や葬儀費用等の主張についても、冷静に証拠の不備等をつくことで裁判所の理解を勝ち取ることができました。
相談者様も納得の行く解決ができてよかったと思います。