弁護士コラム
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労働問題の紛争解決手続き

投稿日 :
2023-04-27 13:42:50
カテゴリ :
企業法務
WRITER :
桜花法律事務所 上野健太

労働問題が生じた際の解決方法としては、労働審判等の裁判所による解決の他に行政による紛争解決方法が存在します。

そして、行政による紛争解決方法の主な手続きとして労働委員会による紛争解決方法が存在します。

Ⅰ 労働委員会による紛争解決方法

 労働者や労働組合は、労働問題の解決を図るため、労働委員会によるあっせん、調停、仲裁が行われることがあります。労働委員とは、労働問題を専門的に取り扱うために都道府県に設置された行政機関であり、公正・中立な立場で労働関係紛争の迅速・円満な解決に努め、労使関係の安定を図ることを目的としています。

 ⑴ あっせん

 あっせん手続きとは、個々の労働者と事業主との間の労働条件などを巡る問題について自主的な解決が困難となった場合に、労働委員会   のあっせん員が双方の間に入って、話合いによる解決をサポートする制度です。

 労働者又は事業主、どちらからでもあっせん手続きの開始を申請できるため、行政による解決方法として用いられることの多い手続きです。あっせん員の調整により、当事者双方があっせん案を受諾した場合又は双方が自主的に話し合うことを了解した場合等には、あっせんは解決により終結します。

 もっとも、申請の相手方があっせん参加を辞退したときや、当事者双方に解決に向けた歩み寄りがみられない場合等、あっせん員が紛争解決の見込みがないと判断したときには、あっせんは打切りにより終結します。

 ⑵調停・仲裁

 あっせん手続きは、一方の申請によっても開始される手続きですが、調停や仲裁という手続きについては労働協約に定めがなければ一方申請によって開始することはできない等、開始について制限があります。

 ただし、あっせん手続きにおいては解決案の提示は原則的なものではないのに対し、調停や仲裁手続きでは、提示することが原則とされている等、手続きには違いがあります。 

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