弁護士コラム
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問題社員に対する対応策について

投稿日 :
2023-03-29 16:59:57
カテゴリ :
企業法務
WRITER :
桜花法律事務所 上野健太

問題社員を辞めさせようとしても、そう簡単に辞めさせることができるものではありません。社員を解雇するにあたっては、厳格な法規制が存在し、理由なく社員を解雇することはできません。そこで、問題社員に対してどのような対応策があるのか検討していきたいと思います。

Ⅰ 指導

 まず考えられるのは、問題社員に対し指導することでしょう。会社としては問題社員をいきなり解雇とするのではなく、問題社員の抱える問題の解決に努めるべきです。また、問題社員に対して指導をした事実は、後に問題社員を解雇とする際の根拠ともなり得ます。そのため、問題社員に対する指導については、客観的な資料を証拠として保存しておくべきです。例えば、問題社員に対しての指導内容が分かる書類や教育・研修を行ったことが分かる資料の他、実際に起こした問題についての問題社員の始末書等は保管しておくべきです。

Ⅱ 配置換え

 問題社員を配置換えすることで問題が解決する可能性があるのであれば、配置換えを検討すべきです。配置換えについては根拠規定があれば会社に広い裁量が認められます。もっとも、退職を促すことを目的として配置換えを行う等、不当な目的で配置換えをすれば違法となるおそれがあるので注意が必要です。

Ⅲ 退職勧奨

 会社の対応によっても問題社員の問題が改善しない場合、解雇を検討することとなります。もっとも、まずは話し合いによる合意退職を検討すべきです。これまでの指導や配置換え等の結果をもとに、改善の見込みがないことを指摘し退職して欲しい理由を説明します。場合によっては金銭の支払いも検討し、合意による退職を目指していきます。退職勧奨についても、退職勧奨に応じなければ解雇するといった言動や、多数回長時間にわたり退職勧奨をすることは、退職の強要として違法となり得るので注意が必要です。

Ⅳ 解雇

 解雇には普通解雇と懲戒解雇の二種類があり、懲戒解雇は懲戒処分として行う解雇のことです。 懲戒処分の種類としては戒告、譴責、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇等がありますが、その中でも懲戒解雇は最も重い懲戒処分であり、懲戒解雇によるには相応の理由が問われることになります。普通解雇は懲戒処分によらない解雇のことをいいます。両者は退職金の給付の有無や雇用保険の給付の取り扱いについて異なり、懲戒処分の方が従業員への不利益が大きく、より慎重な検討が必要となるでしょう。

 

問題社員に対し、安易に懲戒解雇等を行えば、後に法的紛争となるおそれがあります。問題社員に対してはどのような対応をすべきか、法的に問題がないかをよく検討した上で適切な対策が必要となります。

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