取扱業務
Handling duties

離婚問題

離婚問題

桜花法律事務所は、離婚問題でお悩みの皆様のお力になります。
離婚をする、しないという結果にかかわらず、離婚の問題は人生のターニングポイントになります。離婚といっても、家庭ごとに事情は様々で悩みもそれぞれであると思います。桜花法律事務所は、皆様の悩みを一つ一つ解決し、力強く新しい一歩を踏み出せるよう弁護活動をさせていただきます。
離婚が成立する前の婚姻費用分担請求、子の引渡、監護権者変更、面会交流といった問題や離婚成立した後の親権者変更、養育費、財産分与、年金分割、面会交流の問題についても対応いたします。
また、内縁関係解消や婚約破棄といった婚姻に至らなかったケースの事件についても対応させて頂くことが可能です。

■人生のターニングポイントにある
貴方の力になりたい。

  • 離婚をしたいと考えている。
  • 配偶者から離婚を請求されていて困っている。
  • 夫に別居されてしまい、どうやって生活したらよいのかわからない。
  • 子供の親権で揉めてしまった。
  • 子供の養育費を払ってもらえない。
  • 配偶者に浮気されて、困っている。
  • 離婚は合意したけど、財産分与などのその他の条件が折り合わない。
  • 長年の内縁関係を解消したいけれども内縁を解消したあとの生活が不安だ。
  • 結婚直前に突然婚約破棄されてしまってどうしたらよいかわからない

弁護士に依頼するメリット

離婚手続きの流れ

離婚手続には①協議離婚、②離婚調停、③裁判離婚の3種類があります。
この状況に応じてこれらの手続を選択して離婚手続を進めて行く必要があります。

法律相談料・弁護士費用目安
(全て税込表示)

法律相談料は30分ごとに5,500円です。
その場で受任した場合には、費用は発生しません。

※上訴審については11万円~第一審着手金の半額を着手金とします。

協議離婚書の作成
着手金

11万円~16万5000円

成功報酬

なし

交渉・調停・審判
着手金
第1審まで

11万円~33万

成功報酬
獲得した経済的利益 報酬額(税込)
300万円以下の場合 経済的利益の16.5%
300万円を超え3000万円以下の場合 経済的利益の11%+16万5000円
3000万円を超え3億円以下の場合 経済的利益の6.6%+148万5000円
3億円を超える場合 経済的利益の4.4%+808万5000円

※➀離婚が目的どおり成立した場合、上記金額か33万~55万といずれか大きい金額を報酬とします。 (有責配偶者の事例かどうかなど難易で提案します)
※②婚姻費用・養育費の経済的利益は2年分を上限とします。
※③争点なった親権や監護権を獲得した場合には別途11万~44万 (同居の有無や年齢などの難易で提案します。)
※④争点となった面会交流の報酬は別途11万~33万 (頻度・宿泊の有無、学校行事への参加の有無など提案します。)

離婚訴訟
着手金

33万円~55万
交渉・調停から受任の場合にはそれまでに受領した着手金を控除します。

成功報酬金

交渉・調停・審判と同じ。


親権と監護権

1.親権者

未成年者の子供がいる場合、親権者を決めないと離婚をすることはできないことになっています。親権者とは、離婚後に子供達と一緒に生活して生活の世話をして(監護)、その財産を保護していく(財産保護)者のことです。通常は両親が共同して親権を行っていきますが、離婚をする際にはどちらか一方に親権者を定めることになります。

2.親権者の決定方法

協議離婚や離婚調停の場合には、夫婦の間で親権者をどちらかにするかについて話し合いが成立すれば、それに基づいて親権者が決まります。話し合いによって決着がつかない場合には、裁判所が基本的には離婚訴訟の中で親権者を判断することになります。
ただ、親権に争いがある場合に訴訟手続まで移行しなければならないかというと、そうではありません。調停手続の中で家庭裁判所調査官による調査が行われ、その中で実質的な裁判所の判断が下されることがあります。中立の家庭裁判所調査官による判断を裁判所は重視しますので、離婚調停段階での家庭裁判所の調査官の判断は離婚訴訟になっても維持される可能性が高いのです。家庭裁判所調査官の意見によって一定の方向性が示されることで、離婚訴訟に至らずとも親権者の問題が解決する場合は多数あります。

3.親権者の判断基準

裁判所はどちらを親権者にした方が子供のためになるかという観点から親権者を決めます。具体的に次の要素が重視されます。これらの要素は家庭裁判所の調査官も重視しています。

①父母側の要素

・子供の世話をしていく意欲や愛情があるか
・子供の世話をする能力があるか(年齢の若さ、健康状態、時間的余裕、経済力、親族の援助など)
・これまでにどれだけ子供に関わってきたか
・子供の世話をしていくための環境は整っているか(居住関係、学校関係)
・親権者の有責性はあまり問題にしない(夫婦の問題と親としての適格性は別であると考えられている。)

②子供側に要素

・年齢や性別
・子供の意思や希望(子の年齢が大きいほど重視される傾向にある。)
・心身の発育状況
・従来の生活環境にどれだけ馴染んでいるか
・生活環境を変更しても大丈夫か
・兄弟姉妹との関係(基本的に別々になるのは望ましくない。)
・父母やその親族との結びつきの強さ

4.親権者の変更

一度決めた親権者は絶対に変更できないかというとそうではありません。親権者を変更することが子供のためになるのであれば、裁判所は親権者を変更することができます。例えば、親権者となった相手親が子供を虐待し始めたとか、大きく成長した子供が親権者と折り合いがつかなくなっているなどは考えられるところです。
親権者変更するには、必ず親権者変更の調停又は審判の申立を行う必要がありません。いくら当事者に親権者変更の合意があったとしても、親権者の変更は協議ではできず、必ず家庭裁判所の関与を受けなければならないので注意が必要です。
親権者の変更については、裁判所は親権者を指定した際の考慮要素をもとに、親権者を変更することが子供の利益にかなっているかを判断して決定します。

5.監護権者の指定と子の引渡し

離婚する際に父母どちらが親権者となるかは既に述べたとおりです。ただ、離婚に至っていない状態でも、夫婦が別居することによってどちらが子供の世話をしていくのかが問題となることは多数あります。同居して子供の世話いる状態をキープしていることは親権を手にするためにも有利な要素です。ある日突然、子供を連れて相手親が出ていってしまうことはよくある話です。 このように離婚前にどちらが子供の世話をしていくか(どちらが監護権者となるか)について争いが生じた場合には、家庭裁判所に対して監護権者指定の審判と子の引渡し請求の調停又は審判の申立を行います。また、虐待の危険などの緊急性がある場合には、迅速な手続である審判前の保全処分を家庭裁判所に申し立てます。
裁判所は、監護権者の指定や子の引渡しについても概ね親権者を指定する際の判断要素をもとに、どちらが監護権者となるのが子供のためになるのかを判断します。

解決事例報告Solution case report

  • 協議離婚のバックアップ/ギャンブル依存症の夫から住宅の名義変更に成功しました。
    2024.3.8

    相談事例

    相談者様は、本件依頼時40代の女性です。
    相談者様は、結婚後20年余りの間に、相手方である夫のギャンブル依存症によるお金の使い込みに長年悩まされてきました。
    相談者様が、夫婦の財産の管理をすることで致命的な経済的破綻は避けられていましたが、夫によって今後の経済的な見通しが立たず、将来にも不安を感じていました。
    そんな中、相手方が離婚を言い出して別居するようになり、相談者様も離婚について考えるようになりました。そして、今後の将来の展望をつけるために当事務所にて相談することにしました。

    解決結果

    1.離婚自体は相手方が言い出したことであり、離婚条件についても相場より相談者様に有利なものが相手方から提案されていました。あとは、いかにそれを気が変わらないうちに、文書化して確実なものにしていくかが問題でした。

    2.弁護士が代理人として介入することも検討しましたが、この状況で弁護士が入ると相手方を警戒させることになると考え、協議離婚と継続相談によるバックアップを行いました。

    3.協議離婚書案を作成し、相手方への切り出し方など相談者様の疑問を解消しつつ、相談者様と相談を繰り返していきました。

    4.その結果として、相談者様の手で協議離婚書を取り交わすことができ、財産分与で自宅不動産を相談者様のものとしたうえで、住宅ローンを夫婦の預金で一括返済して名義変更を成功させるという協議離婚を成立させ、無事に不動産の名義変更に成功することができました。また、預金等の財産も養育費も今後の生活に困らないものを確保することができました。

    弁護士のコメント

    相手を警戒させないために本人自身が交渉したこともあり、心の準備などに時間はかかりましたが結果として、自宅不動産と十分な生活資金と養育費を確保することができました。
    代理人が前面に出てしまった場合には、相手方を警戒させることになり、このような結果の獲得は困難であったと思います。弁護士が代理人として表に出ることが全てではないと感じる良い例だったと思います。

  • 【婚約破棄】結婚を約束している相手方から、婚約の不当破棄として多額の金銭を請求されていた事件。
    2023.4.26

    相談事例

    相談者様は、本件依頼時40代の男性です。
    相談者様は、結婚を約束している相手方との婚約解消に際し、婚約の不当破棄として高額の金銭の支払いを請求されていました。そして、相手方との交渉が難航していたことから、本件を当事務所に依頼しました。

    解決結果

    1.弁護士は、受任後、相手方との交渉に入りました。本件については、婚約の事実は認められないと考えられた上、相手方の請求は過去の裁判例に照らしても高額であり、本事例について訴訟となった際に想定される認容額を遥かに超えるものでした。そこで、裁判例に照らし、妥当な解決となるように相手方と交渉をしていきました。

    2.もっとも、本件については相手方としても強い怒りを感じていたことから、請求は認められないと頭ごなしに否定するのではなく、相手方の気持ちにも配慮した交渉を続けていきました。

    3.その結果、支払額について、双方が納得いき、裁判例に照らしても妥当な和解を成立させることができました。

    4.また、本件では当時、相手方が相談者様名義のマンションに居住していたことから、退去や所有物の処理についても問題となっていました。

    5.そこで、この点についても和解案の中に含め、相手方と継続して連絡を取り続けることで、結果として問題なく退去いただいた上、全面的な解決を図ることが出来ました。

    弁護士のコメント

    婚約破棄事例では、支払額の他にも、マンションの退去や所有物の帰属等、様々な問題が生じます。
    本件では、裁判上婚約の事実が認められないと考えられる事例ではありましたが、相手方の請求は認められないと頭ごなしに否定するのではなく、裁判例に照らしつつ妥当な解決を図れるよう終始誠実な対応を心がけました。
    マンションの退去等の問題もありましたが、このような妥当かつ誠実な対応を続けたことで、相手方も誠実に対応してくださり、終始穏便に解決を図れることができたように思います。

  • 【不貞の慰謝料として合計414万8440円獲得】依頼者の気持ち寄り添いながら、高額の慰謝料請求を勝ち取りました。
    2023.1.16

    相談事例

    相談者様は、本件依頼時30代の女性です。
    相談者様は、配偶者である相手方と5年間の交際を経て結婚し、同居しました。
    しかしながら、入籍後まもなく相手方が不貞行為をしているのではないかとの疑いが生じました。家には複数の女性とのプリクラやラブホテルのカードなどが発見されたのです。相談者様は相手方を問い詰めたところ、相手方は相談者様に誓約書を書いて提出しました。
    しかしながら、相談者様は、相手方に不信を抱いたので、その後、探偵会社に調査を依頼して、2回にわたって調査を行ったところ、相手方が複数の女性とデートをし、その中には複数回にわたってラブホテルに入っている女性もいることが判明しました。
    相談者様は、その探偵会社の調査報告書を受けた後、調査会社のことを伏せて、相手方に不貞を問い詰めましたが、相手方はとぼけたため、相談者様は離婚を決意して、相手方と別居し、当事務所の弁護士に相談して本件事件を委任しました。

    解決結果

    1.相談者様は、当初はすぐにでも離婚をしたいと考えていましたが、受任後まもなく離婚をするにあたっての気持ちの整理をしたいと言いました。離婚という結論は決まっていたのですが、相談者様の気持ちの区切りがなかなかつきませんでした。弁護士は、何よりも相談者様の気持ちを尊重して、定期的に面談を行いながら気持ちの整理の手助けをしつつ、相談者様の気持ちが整うのを待ちました。

    2.依頼してから約1年後に、相談者様はようやく離婚と慰謝料請求をすることを決めました。そこで、弁護士は離婚と慰謝料414万8440円(慰謝料300万円+探偵費用114万8440円)を求める内容証明郵便通知書を送りました。しかしながら、指定された期日までに相手方から何らの連絡もありませんでした。そこで、弁護士は相手方に対してLINEで返事をするように督促するとともに、期日までに連絡がなければ婚姻費用分担と離婚の調停を起こす旨を連絡しました。

    3.それでも相手方は何もしてこなかったので、離婚及び婚姻費用分担の調停を行うとともに、相手方とホテルに入った不貞相手の女性に内容証明郵便を送り、そのことを相手方に報告しました。

    4.そうしたところ、相手方は、ようやく弁護士に連絡をしてきて、離婚に応じること、慰謝料についても支払う意思はあるが一括払いは難しいこと、調停手続を避けたいことを伝えてきました。

    5.そこで弁護士は相手方と協議し、頭金300万円を支払、離婚届を送付すれば調停の取り下げること、この場合には残りの慰謝料114万8440円については毎月8万円ずつ(最終回10万8440円)の14回分割での支払いを認めるとの提案をし、相手方がこれに応じました。そこで、弁護士は相手方とその内容の協議離婚書を作成し、相手方は記入済みの離婚届を交付したので、離婚が成立しました。そして、弁護士は離婚と婚姻費用分担の調停を取り下げました。事件処理開始から3か月で離婚成立となりました。

    6.この間、不貞相手は、代理人弁護士をつけて、自分は既婚者だと知らずに交際したのであって、自分には慰謝料の支払義務がないこと、相手方に慰謝料請求をすると主張してきました。弁護士は、不貞相手が慰謝料請求すると相手方の慰謝料請求の支払が滞る可能性があると考えて、余計なことをするな、余計なことをすれば訴えると圧力をかけました。

    7.その結果もあってか、相手方は概ね予定どおり分割払いの支払いを行い、慰謝料414万8440円の回収をすることができました。

    弁護士のコメント

    依頼を受けた後、一年間の間、特に事件を動かさずに相談者様の話を聞き、気持ちに寄り添えたことで、相談者様が納得する形で事件を終えることができたことが一番の結果ではないかと思います。
    事件処理は受任後直ちにするのが原則ですが、相談者様は5年も交際して結婚に至った方と離婚をしようとしているわけで、自分なりの気持ちの整理をしたいと思うことは十分に理解できたので、ゆっくりと気持ちの整理がつくのを待とうと思っていました。
    事件処理の点では、動くと決めたら一気呵成に行動し、こちらの動きを無視する相手方に対して段階的に圧力をかけて交渉の場に立たせることができたこと、不貞相手が余計なことをしないようにけん制できたことが上手くいった要因ではないかと思います。結果としては事件処理から3カ月、相手方と話をするようになってから3週間で離婚成立となりました。
    私には、離婚成立までに時間をかけることは避けたいという気持ちがありました。それは、離婚までに時間がかかれば、それだけ再スタートが遅くなり、一生懸命考えた時間に対して後悔の気持ちが生まれてしまうのではないかと考えたからです。今回無事に迅速に離婚の成立に辿り着き、慰謝料の回収も滞りなく行うことができ、結果の面でも、プロセスの面でも相談者の方に満足していただけたので本当によかったと思っています。

  • 【165万円→0万円】内縁の妻からの不貞慰謝料請求を全額退けました。
    2022.12.19

    相談事例

    相談者様は、本件依頼時30代の女性です。
    相談者様は、過去にAという男性と交際したことがありました。Aは過去に相手方と内縁関係にありましたが、内縁は破綻して、文書で内縁を解消した旨を述べていました。また、Aは内縁解消のことを周囲の人たちにも述べていました。そのため、相談者様はそのことを聞いてAと交際をしました。
    その後、しばらくして相手方から相談者様に連絡があり、相談者様は、内縁解消後に交際した自分が不貞をしている認識はなかったものの、トラブルに巻き込まれることを恐れて、Aとの交際関係を解消しました。約束通り、Aの関係を解消したことから相談者様はこの件は解決したものと思っていました。
    そうしたところ、そこから約2年が経過した後に、相手方から相談者様に慰謝料150万、行政書士による文書作成費用6万円を内容証明郵便にて請求してきました。そこで相談者様は本件事件を当事務所の弁護士に依頼しました。

    解決結果

    1.弁護士は相談者様からの言い分をまとめ、内縁解消後の交際であり不貞行為には該当しないこと、相手方からの「ここで別れるなら、お金も請求しない。出るとこにも出ない。」の発言は条件付きの債務免除の意思表示であり、通知人はそれにしたがったのであるから債務免除により支払義務がないことを主張し、相手方に通知しました。

    2.そうしたところ、相手方からはそれ以降何の連絡もなく、特に交渉が進むということもありませんでした。その後、消滅時効期間が満了したので、弁護士は相手方に対して消滅時効の援用の通知を行い、相手方の慰謝料等の請求権を消滅させました。

    弁護士のコメント

    相手方は弁護士を立てずに本人による請求ではあったので、弁護士によって事実関係を法的に整理して説得力のある通知・主張を最初に行って、相手方を沈黙させることができたのが本件の成功要因だったと思います。
    相手方とAとの関係は内縁関係であったこともポイントだったように思います。内縁は婚姻関係と異なり相手方への意思表示だけで解消できます。
    もちろん、正当な理由がなければ慰謝料の問題になりますが、内縁の解消自体は意思表示をするだけで決まります。相手方の請求はAとの内縁関係があることが前提でしたが、婚姻関係とは違い容易に解消できるものであることから、離婚とは異なり相手方が強気にでることができなかったのではないかと推察しています。

  • 【婚姻費用減額12万→6万円、養育費減額10万→4万円】婚姻費用と養育費を算定表を超えて減額しました。
    2022.12.17

    相談事例

    相談者様は、本件依頼時30代の男性です。
    相談者様には、配偶者である相手方と相手方との間に子どもがいました。
    相手方は、ある日突然子供とともに行方をくらまし、婚姻費用分担調停と離婚調停を申し立ててきました。
    相手方の身勝手さに怒りを覚えた相談者様は、突然の請求に驚き、当事務所の弁護士に相談し、弁護士に本件事件を委任しました。

    解決結果

    1.相談者様は、離婚自体はやむなしと考えていました。また、財産分与として特に分与するような財産もありませんでした。本件で一番の論点になったのは婚姻費用と養育費の額です。

    2.相手方からは代理人弁護士を通じて婚姻費用として12万が求められていました。算定表を単順に当てはめると12万円に近い金額になりました。ただ、相談者様には住宅ローンや相手方との婚姻生活の中で借り入れた借金の返済などがあり、月12万円もの返済をすることはできませんでした。他方で相手方は生活保護を受給しており、当面の生活に困ることは全くありませんでした。
    こちらは、借金の返済の状況や相手方の生活費用の立替などを主張しましたが、裁判所より、裁判所が審判で判断すれば10万円になると言われていました。

    3.このとき、相手方が相談者様と一緒に住んでいた自宅に残してきた相手方の物品や子供の用品を引き渡すように要求してきました。弁護士は、ここが相手方の弱みであると考え、相手方の物品の引き渡しをする代わりに婚姻費用の減額を迫りました。また、相手方に対して審判になったら任意では支払わない、強制執行するように告げました。これは、相手方が生活保護受給中であり、弁護士との契約が法テラスを介したものであることが想定されたため、強制執行をすることになれば弁護士にとって費用対効果があわなくなるだろうことも計算に入れてのことでした。このような駆け引きの結果として婚姻費用は12万円から6万円まで減額され、相談者様の収入の中で支払うことができるようになりました。

    4.養育費についても相手方は再度10万円の請求をしてきましたが、婚姻費用で6万円と決まった以上、それ以上養育費が認められるわけもありませんでした。当方としては養育費は4万円で、裁判所の判断でこれ以上の金額になるならば任意の支払はしないと再度圧力をかけ、最終的に養育費は4万円とした離婚が成立しました。

    弁護士のコメント

    相談者様が借金で苦しんでいたのは、相手方との生活を維持するためでした。それにも関わらず、一方的に子供を連れて別居し、借金をした経緯を無視して高額の婚姻費用と養育費を得ようとしていたのはおかしいと思い、減額するべく戦いました。
    裁判所すらも一時は高額の婚姻費用を認めるような話をしていたこともあり、一時は悩みましたが、相手方の弱点を上手くついて婚姻費用と養育費の減額に成功することができました。
    相談者様にも喜んでいただけてよかったです。

  • 【300万円→90万円】不貞の慰謝料請求を減額しました。
    2022.2.08

    相談事例

    相談者様は、本件依頼時30代の男性です。
    相談者様は、女性Aといわゆる男女の関係にあり、Aが相手方と入籍後に2,3回ほど性交渉を行いました。その後、相談者様はAと関係を精算し、それ以降はたまに連絡をとる程度で直接会うこともなくなりました。
    最後に不貞行為をした後6年ほどして、Aの夫である相手方が、弁護士に依頼して、相談者様に不貞を理由とする300万円の慰謝料請求の内容証明郵便通知書を送付し、それが相談者様の職場宛に届きました。
    相談者様は、突然の請求に驚き、当事務所の弁護士に相談し、弁護士に本件事件を委任しました。

    解決結果

    1.相談者様は、Aとの関係を解消した後に婚姻をしており、このトラブルが裁判所に持ち込まれ、相談者様の奥様に知られることは避けたいという考えがありました。一方で、相談者様には、ある程度の慰謝料を支払うだけのお金はなく、それを貯めるためには時間が必要でした。

    2.弁護士は、過去に不貞行為については謝罪するとともに、6年前の不貞行為を問題としていることから消滅時効の主張を行いました。また、調査の結果として、相手方とAが同居を解消しておらず、離婚していないということから不貞関係が破綻したと認められないこと、不貞関係は婚姻後まもなく数回行われただけであり、継続的な不貞の事案と比べて悪質性が弱く、高額な慰謝料は認められないことを主張しました。そのうえで、早期解決の関係から20万円の解決金を支払うことを提案しました。

    3.それに対して、相手方は、不貞行為を認識したのは最近であることから消滅時効の主張は認められないことや、不貞関係により離婚協議中であることを反論してきました。そのうえで、20万円は安すぎる旨を述べてきました。

    4.このスタンスで、相手方としては無理にでも訴訟にすることはないだろうと弁護士は予測。訴訟をさせないように牽制しつつ、金額交渉をじりじりと行い、相談者様がお金の用意ができるのを待ちました。最終的に8カ月で相談者様もお金を用意することができ、その段階で解決金90万円という訴訟外の和解が成立しました。

    弁護士のコメント

    裁判を絶対に避けたいという相談者様のご意向を優先するとともに、相手方との金額交渉を伸ばして資金を用意する時間を稼ぐことを念頭において交渉し、結果として狙い通りの解決に持って行けたと思います。相手方が離婚するのかどうかわからないところがあり、不確定要素は多かったので解決金の判断には悩みましたが、訴訟リスクをとらないことを優先しました。
    相談者様の希望を叶えることができてよかったと思います。

  • マッチングアプリで知り合って交際に至った、真実は既婚者であるにもかかわらず独身であると自称した人物に対して644万9356円もの損害賠償を勝ち取りました。
    2021.8.11

    相談事例

    相談者様は、本件依頼時30代の女性です。
    相談者様は、本件事件の相手方の男性と既婚者NGのマッチングアプリで知り合い、約5年もの間交際をしていました。相手方は、偽名を使い、職業も医者と自称していました。
    相談者様は、交際期間中、相手方のために、結婚を見越して住み慣れた地を離れて、相手方が住んでいる地域に引っ越しました。また、相談者様は、交際期間中に相手方に対して、多額のお金を支払ったり、相手方の旅行する際の宿泊費用を立て替えたりしました。相談者様の収入は少なかったことから、消費者金融で借金をしたり、特別定額給付金を原資にして、そのお金を用意しました。
    ここまでの話でもわかるとおり、相談者様と相手方との交際関係におけるパワーバランスは対等とは言い難く、一方的に相談者様が相手方に尽くすような関係でした。相談者様は日々言葉の暴力を受け、それでも別れたくない、嫌われたくないという思いからひたすらそれに耐え続ける状況で、相談者様の状態はマインドコントロールされている状況でした。
    そうしたところ、相談者様は、ふとしたことから相手方の本名を知ることになり、相手方が偽名を名乗っていることを知りました。そして、様々な情報を集めて相手方が結婚している可能性が高いことを認識しました。また、相手方が自分以外にも交際している人物がおり、相談者様の不在中に相談者様の住まいに交際相手を連れ込んでいることも把握しました。
    そこで、相談者様は悩みながらも、当事務所の弁護士に相談し、本件事件を委任しました。

    解決結果

    1.弁護士は、相談者様が集めた情報をもとに相手方の住民票と戸籍謄本を取得したところ、交際期間中、相手方はずっと結婚していたことがわかり、配偶者がありながら、独身者を自称してマッチングアプリを利用して、相談者様と5年にわたる交際をしたことが明らかとなりました。

    2.そこで、相手方に対して、偽名を使って相談者様と交際をしたことが人格権や貞操権の侵害であること及び独身者と偽って多額の経済的負担をさせられたことは詐欺であることを理由をとして慰謝料500万円と経済的損害144万9356円の合計644万9356円を受任通知で請求しました。この受任通知は、最初LINEで送りましたが、相手方の既読がつかなかったことから改めてメールで送りました。

    3.そうしたところ、相手方からすぐに連絡があり、相手方はそこから2週間以内でこちらの要求した644万9356円全額を指定された口座に入金され、無事に事件を終了することができました。

    弁護士のコメント

    この事件の経緯を分析するにあたって、相談者様と相手方とのLINEのやり取りを確認しましたが、徐々に相談者様が相手方にマウントをとられ、精神的に従属させられていく様がよくわかりました。相談者様が相手方にすがりつくようにお金を出し、相手方の言葉の暴力に耐える様は見ていた非常につらいものがありました。

    そのような意味もあって、当方の損害賠償金額全額を相手方から速やかに回収することができたのでよかったと思います。相談者様も素早く満額回収できたことにとても喜んでいました。この事件の結果を受けて、相談者様は借金を完済し、新たな人生のスタートを切ることができそうです。

    今回の事件を見て思ったのは、マッチングアプリの危うさです。本人確認については年齢確認の意味もあって割と多くのマッチングアプリでなされていますが、独身かどうかまでの確認はほとんどされていないのが実情のようです。交際するという場合、そこには並々ならぬ思いがあります。今回の相手方のように既婚者であることを隠して独身と偽ることは、その思いを踏みにじるものです。
    本件と離れますが、今般詐欺被害の場面でもマッチングアプリが詐欺のきっかけになることが増えてきました。マッチングアプリで交際や結婚に至ったという話も聞きますが、現実に面識のある相手と異なり、相手方について確かな情報が少ない分利用について十分に警戒すべきであると思いました。

  • 相手方にストレスをかけ続け、有責配偶者から離婚請求を実現させました。
    2021.7.19

    相談事例

    相談者様は、本件依頼時30代の男性です。相手方である妻との間に小学生の子2名がいます。相談時の時点で結婚歴約12年でした。婚姻中に毎月約12万円の住宅ローンを組んで自宅不動産を購入していました。自宅不動産は立地に問題があったため、オーバーローンの物件でした。
    相談者様は、年収650万円程度の収入があり、相手方もその給与はわかりませんでしたが、正社員で働いていましたので家族世帯でみたときには十分な収入がありました。しかしながら、家計の管理を相手方がしており、毎月4万円というお金を渡されるだけで、相談者様は、収入に比して苦しい生活を余儀なくされていました。また、相手方からはぞんざいに扱われ、家庭での居場所がありませんでした。
    相談者様と交際関係となる女性(以下、「交際女性」と言います。)と出会い、相談者様は不倫関係になりました。そして、相手方との離婚を考えるようになり、相手方に対して離婚の申し入れをしたところ、相談者様と相手方は別居するようになり、申立人は自宅不動産を出て、交際女性とのもとで生活することになりました。
    その後、交際女性が相談者様の子を妊娠していることがわかり、交際女性は子供を出産しました。そして、相談者様は、交際女性との子供を認知しました。
    別居時に婚姻費用のことは取り決めておらず、それまでどおり、相談者様の給与の入る口座を相手方が管理していました。相談者様は、毎月4万円のもらいに行くという生活をしばらく続けていました。しかし、交際女性も出産のため働けくことができなくなり、生活が苦しいことから、相手方から給与口座の通帳とキャッシュカードを返却を受けましたが、その後も住宅ローンと毎月平均12万円余りの婚姻費用を支払い続けていました。
    このような状況の中で、相談者様は離婚調停の申し立てをしましたが、相手方が出頭せず、調停は不成立に終わりました。また、当事務所の以外の別の弁護士に委任して事件処理を依頼しましたが、離婚する勝算を示すことができず、頼りなく感じていました。なお、相談者様が弁護士に依頼して間もなく、相手方も弁護士に依頼をしました。そこで、新たに何人かの弁護士に相談をしましたが、相談者様が有責配偶者であることから、どの弁護士からも概ね粘り強く交渉するしかないというアドバイスしかしてもらえませんでした。そのような中で、相談者様は当事務所の弁護士に相談し、その方針に希望を見出すことができたので、当事務所の弁護士に依頼することにしました。

    解決結果

    1.弁護士は、相手方が同居を求めていないことから相手方が復縁を求めているわけではなく、相談者様に今後も住宅ローン及び多額の婚姻費用を負担させて、自分は負担なく自宅不動産に住み続けることが、相手方が婚姻を継続する目的であると判断しました。また、相談者様にはオーバーローンの不動産以外と実親に相手方との子供のためにかけてもらった学資保険以外に見るべき財産はなく、学資保険を含めても相談者様の総財産は債務超過にあることを相談者様の強みとし、離婚ができなければ自己破産を行うこと交渉材料に交渉を進めることにしました。自己破産になれば、第三者に自宅不動産が売却される可能性があり、それを相手方は嫌がると判断したからです。相談者様もいつまでも自分が住みもしない住宅ローンの負担をするのは納得いかなかったので、離婚が上手くいかない場合には生活を楽にするために自己破産をすることを決意していました。

    2.弁護士は、受任通知を送るとともに、相談者様には交際女性との間に子供がおり、相手方との離婚する意思を固めていることから慰謝料を100万円支払うという内容の離婚条件案を提示するとともに、応じなければ債務超過を理由に自己破産などの法的整理を行う可能性があることを伝えましたが、相手方は離婚に応じませんでした。相手方が離婚条件に応じないたびに婚姻費用を切り下げていくことにしていましたので、相手方が離婚条件を拒否するたびに毎月に婚姻費用の振込額を減額していきました。相手方弁護士から婚姻費用をきちんと支払うようにとの抗議を受けましたが、婚姻費用の合意はなく、こちらが妥当と判断した金額を振り込んでいくとだけ回答しました。

    3.また、相手方は相談者様との子供たちに、離婚が迫られていることを暴露してしまいました。そして、不安定になった子供たちの精神的フォローのため面会交流をするように相談者様に求めてきました。初めは面会交流に応じることにしましたが、相手方の精神を圧迫するため、相手方が離婚条件を拒否するたびにその回数や頻度を減らしていきました。

    4.相手方が離婚条件を拒否し続け、婚姻費用が減額されていった結果、相手方はしびれを切らして、婚姻費用分担請求調停を起こしました。以前は裁判所に出てこなかった相手方を裁判所に引っ張り出すことに成功しました。
    それに合わせてこちらからも、離婚調停と面会交流調停を申し立て、婚姻費用と併合して審理を進めることにしました。面会交流調停は相手方の間の子供との面会を行わないという申立です。相手方が自分の子供との面会にこだわっているようでしたので、離婚しなければ面会しないと伝える意図で申し立てました。また、断固たる態度を示すため、婚姻費用分担調停を起こされたのをきっかけに婚姻費用の支払を止めました。

    5.婚姻費用分担調停では、相手方の収入がこちらの想定よりもかなり大きいことがわかり、相手方がそれなり自分名義で財産をため込んでいることが予測できました。そこで、財産分与になれば相談者様が相手方からかなりの分与を受けられる公算が大きくなりました。また、婚姻費用も大きな金額にならずに済みそうでした。

    6.しかし、離婚調停については有責配偶者であるため、調停委員の対応は冷たく、「早く相手方が納得するような離婚条件をもってくるように」というばかりでした。財産分与を主張しているにもかかわらず、双方の財産開示にすら消極的でした。弁護士はあまりに冷淡な態度をとり続ける調停員に対してけんか腰で厳しく対応し続けました。弁護士が「この離婚調停でまとまらなければ自己破産すると伝えてください。」と言うと、調停委員も「そんな発言していいんですかね。」と言い返してきましたが、弁護士は「いいんですよ。そのまま伝えてください。」と伝えました。

    7.このように調停員に対処しつつ、調停を続けた結果、最終的に慰謝料200万円、財産分与として自宅不動産の名義変更と住宅ローンの名義変更(相談者様は住宅ローンから解放されました。)、養育費子供一人につき2万6000円という条件で離婚が成立しました。面会交流については特に何も決めずに終わりました。また、早期離婚が一番の希望でしたので、財産分与についてはそこまで追求しませんでした。なお、相手方は交際女性についても慰謝料請求をしていましたが、あわせて調停することとし、交際女性と相手方との間には何らの債権債務がないという条項だけが設けられました。

    弁護士のコメント

    かなり苛烈な方法をとったと思いますが、相談者様はこちらのペースで離婚を進めることができたととても喜んで頂きました。

    交際女性との間に子供ができて認知していることから有責配偶者であることは戸籍謄本をみればすぐにわかる状態でした。もちろん、有責配偶者となれば離婚条件が厳しくなることはよく知っています。ただ、有責配偶者であることは確定してしまっているので、これ以上、不利にもならないとも考えていました。そのため、容赦なくなくこちらの強みを生かし、相手方の弱点を突き、ストレスを与えることに注力できました。相手方に、①自己破産により、自宅不動産がなくなるなり、引っ越しだけでなく子供たちの転校を余儀なくされたりすること、②当たり前に手に入っていた婚姻費用が手に入らなくなること、③財産分与として多額の財産を負担させられること、という3つの恐怖とストレスを与え続けた結果、無事に離婚することができました。

    今回の勝因は、有責配偶者であるという時点で思考停止せずに、状況を冷静に分析して戦略的に行動したこと、裁判所の妙な圧力に屈しなかったことだと思います。

  • ギャンブル依存症者の夫との離婚を速やかに成功させ、離婚後の財産や養育費を確保することができました。
    2021.4.21

    相談事例

    相談者様は、本件依頼時40代の女性です。
    相談者様は、相手方である夫(以下、「相手方」と言います。)と成人した子供1名と未成年者の子供1名の4人家族で生活していました。
    相手方は、会社員として普通に生活をしていましたが、ギャンブルに深くのめりこんでおり、家のお金を使い込んだり、消費者金融から借金したりしてまで、ギャンブルをするようになっていました。相談者様は、夫がギャンブル依存症ではないかと考えましたが、夫は相談者様が話をしても自分はギャンブル依存症ではないと考えて特に治療などの行動に移しませんでした。一方、相談者様はギャンブル依存症者の家族の集まりがあることを知り、そこに足繁く通った結果、夫がギャンブル依存症者であることを確信して、勉強したり、助言の受けたりしながら夫のギャンブル依存症の問題に向き合っていました。その中で、給与の入る相手方名義の預金通帳、印鑑、キャッシュカード等を預って管理するとともに、相手方に1か月分の必要なまとまったお金を渡して生活するようになりました。
    しかしながら、ギャンブル依存症は次第にひどくなっていき、消費者金融の借金から増えて350万円ほどまで借金が膨れ上がりました。また、自動車ローンのボーナス払い用のお金に手を付けてギャンブルにつぎ込んでしまい、自動車ローンを延滞することになってしまいました。なお、自宅の住宅ローンについては遅滞していませんでした。そのような中で夫婦の仲は悪くなっていき、口もきかなくなっていきました。
    そして、相手方から離婚の話を持ち掛けられるとともに、相手方から財形貯蓄の解約用紙に印鑑を押すように言われました。その際に、相手方は自宅不動産から出ていく旨を告げていました。
    相談者様は、離婚をするのかしないのか、離婚をした場合に今後の生活をどうするのかを考えるべく、当事務所に相談しました。

    解決結果

    1.相談者様は、相談時点で離婚はやむを得ないと思っていました。一方で、自宅不動産には住み続ける意向はあったものの、相手方がきちんと支払ってくれるかどうか不安ということ、未成年の子供の養育費をきちんと支払ってくれるかということ及び今後の生活費について悩んでいました。

    2.弁護士は、離婚に至る経緯を聞いた後に、相談者様と相手方の預貯金、生命保険、財形貯蓄の金額や自動車、自宅不動産などの財産関係について詳細に聞き取りをしました。夫の財形貯蓄が約278万円、その他に夫名義の定期預金600万円があることがわかりました。そこで、①金銭については夫の関心事である財形貯蓄を夫に全額渡す代わりに、定期預金から500万円(内訳:養育費154万円一括、財産分与346万円)を受け取ること、②ローンの完済している夫名義の軽自動車の財産分与を受けること、③自宅不動産については相談者様が財産分与を受けて、相手方が住宅ローンと税金関係を負担すること、を内容とする離婚条件案を提案しました。
    相談者様は、相手方が住宅ローンについてきちんと支払きれるかどうかということを気にしていましたが、協議離婚書で合意することはできるものの、究極的には相手方次第であることから延滞によって自宅不動産を失う可能性があることを前提に少なくとも当面環境も変えることなく、住宅費の負担なく、住めるということをメリットと考えて、それまでの間に家族の財産を充実させていくことが重要であり、仮に相手方が完済まで至ればそれは儲けものと捉えた方がいいのではないか、と話したところ、相談者様は納得してくださいました。
    また、相手方が財産分与の金額が大きすぎることについて不満を述べた場合には、離婚には直ちに応じられないことと相手方の退職金についても財産分与の対象とすることもできるが(財産分与額の増額)、今回はあえて財産分与の対象としていないことを説得材料として話し合ってみたらどうかということも助言しました。

    3.このような相談結果で決めた上記条件を相談者様が相手方に伝えたところ、相手方がその条件で離婚条件を受け入れたので、相談者様は弁護士に協議離婚書の作成を依頼しました。それを受けて弁護士は相手方の気が変わらないことが重要と考えて2日で協議離婚書を作成して、相談者様に渡ししました。

    4.その後、相談者様は相手方と協議離婚書を交わして、離婚届を提出するとともに養育費の支払や財産分与についても協議離婚書のとおりに行うことができました。その間、相談者様が迷われる場面もありましたが、弁護士の助言を受けて上手く解決まで持っていくことができました。

    弁護士のコメント

    今回の事件では、相談者様と相手方で話し合いができる状況であり、相手方を無駄に警戒させる必要もないとして代理人として介入することは控えました。

    ギャンブル依存症については依存症者本人の問題(法的問題としては借金問題や窃盗や横領などによる刑事事件)とその依存症者の家族の問題(家族が依存症者によって経済的な不利益を被ることなど)があります。
    本件は依存症者の家族である相談者様やお子様たちに被害が生じるのをどのように防ぐかが問題でした。今回、相談者様は相手方名義の通帳や印鑑やキャッシュカードを管理していましたが、相手方の名義である以上、手段を尽くせば、相手方においてそれらの管理を取り戻すことは可能な状況にありました。したがって、今回の問題は、ギャンブル依存症が進行することで家庭の財産が流出してしまうことを防ぎ、相談者様やお子様達が経済的に困窮しないようにしなければなりませんでした。

    今回速やかに離婚を成立させて、養育の支払と財産分与を完了させることができ、目的を達成することができたので嬉しく思います。相談者様にも速やかに解決できたことで喜んでいただくことができました。

    今回の問題を通じてギャンブル依存症問題において弁護士ができることは多いと実感することができました。これからギャンブル依存症に関する問題について積極的に関わっていこうと決意しました。

  • お子様の親権を相手方へと変更しました。
    2021.3.29

    相談事例

    相談者様は、本件依頼時20代の女性です。相談者様と相手方は、本件依頼時の約5年前に、相手方が仕事をせず、就職しても長く続かなかったこと、家事や育児に対して全く協力的でなかったことから離婚しました。元夫である相手方との間に小学校1年生(本件依頼時)のお子様が1人いますが、その際にお子様の親権は相談者様が取得しました。
    その後、相談者様はシングルマザーとして働きながら懸命にお子様を育てました。また、相談者様は、相手方を軽蔑し、強い嫌悪感を抱きながらも、相手方とお子様の面会交流を定期的に実施していました。
    ところが、ある時、たまたま都合がつかなくなり、面会交流が2回連続で実施できなかったことがありました。そうしたところ、相手方は、深夜に男性4名で相談者様宅に押しかけ、未成年者と会わせるように強く迫ってきました。相談者様は多人数で押しかけられたことで怖くなって居留守を使いました。そうしたところ、相手方らは、相談者様がお子様を虐待しているという虚偽の通報をして、警察官を呼び出し、警察官のいる前で、「お子様を病院へ連れて行く」、「お子様の安全が確認できないと帰らない」などと言い張りました。
    相談者様は、虐待など全くしたことがなく、夜間の救急病院にいけばすぐにその疑いは晴れると考えたため、警察官の説得を受けて、相手方と翌日午前10時までにお子様を連れ帰るという約束して、未成年者を相手方に引き渡しました。ところが、相手方らはその約束を破り、お子様を返そうとしませんでした。
    そこで,相談者様は,警察に相談。その結果、相談者様は、警察の説得の結果、約束の日から2日後にようやく警察署でお子様を返してもらうことができました。相手方は,このトラブルの中で相手方が虐待をでっちあげてお子様を誘拐したと認識しており,相手方と関わりたくないとの思いを強く感じました。
    その後も,相手方とお子様を我慢しながら継続していましたが、相手方が誘拐まがいの方法をとったことに対する不信が払拭されることはありませんでした。
    そんな中、さらに児童相談所から、相談者様に、相談者様がお子様に虐待をしている疑いがあるとの連絡がありました。このことを受けて、相談者様は再度相手方が虐待をでっちあげたと考え、相手方を信用することはできない、理由をつけて再度お子様を連れ去ろうとしていると考えました。
    そこで、相談者様は、相手方と連絡を断ち、面会交流をやめました。そうしたところ、相手方は、それまで行っていた養育費の支払を取りやめました。
    その後、相手方は、家庭裁判所に対して面会交流調停の申立を行いました。それを受けて、相談者様は当事務所の弁護士に相談して本件事件を依頼しました。

    解決結果

    1.相談者様の希望は、今後の人生で相手方と関わらないことでした。弁護士は、現在の家庭裁判所の実務が原則として面会交流を実施するとしていることから厳しいとは思いつつも、お子様と相手方との面会交流を実施しないということを目標に戦略を練りました。
    まず、養育費の未払は面会交流の否定事由になること、離婚時に相手方が無職であることを前提に養育費の取り決めがなされており、その後、相手方が就職している可能性が高かったことから相手方に対して養育費増額調停の申立を行いました。その一方で、虚偽の虐待をでっちあげてお子様を連れ去ったこと、養育費を支払っていないことなどを理由に面会交流を拒絶する主張を展開しました。

    2.そうしたところ、相手方は、未だに就業しておらず、未払となっている養育費についても暫く時間を経過しなければ支払う目途が立っていないと主張してきました。養育費増額調停については、このまま維持をしてもかえって養育費が減額されてしまう可能性があることや既に養育費の未払については裁判所に十分理解してもらえたことを理由に取り下げました。

    3.相談者様は調停を進めながら、弁護士と話し合う中で自身の気持ちを整理していきました。相談者様は、今後の人生で二度と相手方に関わりたくないこと、ここで仮に面会交流を拒絶することが出来ても、しばらく時間が経過すれば相手方から再度面会交流の調停が申し立てられる可能性があり、結局相手方と関わりを持たざるをえないことから、相談者様は相手方にお子様の親権を譲ることを決めました。これを受けて、弁護士はお子様の親権者を相手方とする親権者変更調停を申し立てました。

    4.その一方で、面会交流の審理は進み、家庭裁判所の調査官による調査が行われましたが、養育費の未払や相手方の誘拐まがいのやり方にもかかわらず、面会交流を実施するべきであるとの調査官意見が出されました。

    5.そして、こちらから親権者変更に関する調停案を提案したところ、相手方がこれに同意しました。そして、親権者を相手方に変更する調停が成立するとともに、相手方は今後申立人に一切連絡をしないという合意が成立し、お子様を相手方に引き渡しました。

    弁護士のコメント

    受任当初は、親権者を変更するということは全く想像できていませんでした。なぜなら、話を聞く限り、相談者様とお子様との関係はとても良好であり、親権者を変えるというのは想像できなかったからです。一方で、相談者様の相手方への強い嫌悪感を察することもできました。
    相談者様は、今後の人生を考えていく中で自らの気持ちを整理し、親権を相手方に変更して2度と相手方にもお子様に関わらないと決意し、この結論に至りました。私は、相談者様の決意を尊重して事件処理しました。

    裁判所からは、調停の席上、相談者様とお子様の仲が良好であることから親権を手放す必要はないのではとの意見も寄せられました。しかし、裁判所は面会交流を認める方向で動いており、相談者様の気持ちを理解できていなかったため、相談者様は裁判所の言葉に不信感を募らせるばかりでした。
    私は、調停を見ていて、裁判所が相場の結論に落ち着かせるために手続を進めていると感じており、一つ一つの手続が形式的なものに感じられました。最初から決まった結論に押し込むための、形式的な手続では当事者の理解や納得は得られないのではないかと思いました。

    今回の事件で、事件を解決する方法として、親権を手放すという方法があるということがわかりました。親権者となるとお子様と一緒に生活できるという反面、重い責任が伴います。一方で様々な事情から親権を維持することが望ましくない事情もあると考えられます。例えば、親権者の著しい体調や経済状況の悪化、ストレスからお子様を虐待してしまうことなどの事情が考えられます。このような場合に親権を元配偶者に変更するという方法は一つの解決手段として取りうるのではないかと思いました。

  • 不貞関係の立証に成功し、有利な解決を導くことができました。
    2020.4.27

    相談事例

    相談者様は、本件依頼時40代の女性です。相談者様は、相手方である夫(以下、「相手方」と言います。)から離婚訴訟を提起されていました。
    相談者様は、当初、別の事務所の弁護士に依頼して応訴していたのですが、良好な信頼関係も築けなかったことから、その弁護士に辞任されてしまいました。
    そのような中で、当事務所の弁護士に相談した結果、本件事件を委任することにしました。

    解決結果

    1.相談者様の意向は、絶対に同居して生活しているお子様と別れたくないというものでした。そこで、弁護士は離婚について争うとともに、仮に離婚が認められたとしても親権者を相談者様にすることを第1目的としました。そのうえで、離婚が認められた場合に備えて財産分与、養育費、年金分割の請求をしました。

    2.親権者については、相手方にもそれなりに有利な証拠があったものの、離婚調停と平行して申し立てられた面会交流審判で、相手方に直接の面会交流が認められず、年3回の写真等の送付に制限されました(詳しくはこちら)。直接面会交流が実施できない人物が親権者となることは考え難いため、仮に離婚が認められた場合の親権者については早期の段階でご相談者様にほぼ決まりました。

    3.離婚請求については、当初婚姻関係破綻がないことや相手方の暴力や過去の不貞による有責配偶者性を主張しましたが、今一つ決め手に欠け、実質的な別居期間を考慮すると相手方の離婚請求が認められてしまう可能性がありました。
    また、財産分与についても基準時、相手方が婚姻前から高所得の有資格者であったことを理由とした財産分与の割合、不動産の評価額など多数の争点が形成され、一筋縄ではいかない状況でした。
    養育費についても、相手方の収入が高かかったことから、当方が当時の養育費算定表を超える金額の養育費を求めたため、この点でも激しい争いがありました。

    4.こうした状況の中、相手方とその過去の不貞相手(以下、「不貞相手」と言います。)が再び交際しているのではないかという疑いが、相談者様が集めてきた相手方らのSNSのページ等から生じました。
    過去に相談者様は不貞のことで、相手方との接触禁止を内容に含む示談をしていたので、接触のみならず、交際をしていることが立証できれば、相手方に有責配偶者性を強く基礎づけることになります。
    ただ、これらの情報だけでは証拠として弱かったので、より強い証拠を入手すべく、弁護士自らが何度も相手方や不貞相手の住居の周辺等を調査した結果、特定の曜日に相手方が自宅にいる可能性、そのタイミングで不貞相手も相手方宅にいる可能性が高いとの予測を立てることができました。
    そして、この情報をもとに探偵業者に調査を依頼しました。事前の弁護士の調査で調査時間帯も絞りこむことができたので、比較的安価で調査を依頼することができました(相談者様に高額の調査料金を負担することは困難でした。)。
    そして、探偵業者から、調査後に、調査日に相手方自宅から、相手方と不貞相手が自宅から出てくる場面、その後、相手方と不貞相手が買い物に出て、相手方宅に戻ってくる場面及びその後長時間不貞相手が滞在していた場面の写真とその状況を説明した報告書が提供されました。
    この状況から、少なくとも接触禁止の示談に違反していることはもちろんのこと、その時点で相手方と不貞相手が交際を伺わせるような証拠を獲得することができ、SNSのデータ等と合わせると二人が交際していることが明確になりました。その段階で、相手方に対して慰謝料請求の反訴、不貞相手に対して慰謝料請求の訴訟提起を行いました。ここで一つ考えを巡らせて、不貞相手の訴状の送達先を住民票上の住所ではなく、相手方の住所としたところ、相手方が同居人に対する郵便として訴状を受領しました。この事実も不貞関係を立証する事情として用いました。
    そして、決め手として、相手方に対する反対尋問で、相手方が現在不貞相手と同棲していることを認める発言を引き出すことができ、相手方が相談者と別居開始後、長期間にわたって不貞関係にあったことを立証することができました。

    5.そして、最終準備書面で、各証拠の持つ意味を合理的かつ丁寧に主張し、相手方が有責配偶者であり、離婚が認められないことを明らかにしました。その後、和解協議の機会が設けられましたが、相手方は、裁判官が不貞関係について認める方向であるとの心証開示をしたにもかかわらず、強気な姿勢を崩さず和解協議は決裂しました。最終的に第1審判決は、相手方の不貞行為による有責配偶者性を丁寧に認定して相手方の離婚請求を棄却した上、相手方と不貞相手に慰謝料の支払い命ずる仮執行宣言付き判決を言い渡しました。

    6.当然のことながら、相手方も不貞相手は控訴してきました。こちらも、一歩も引かない意思を示すべく、認められなかった慰謝料請求分の控訴をするとともに、引き続き、養育費、財産分与、年金分割の附帯処分の申立てを行いました。さらに相手方に対してプレッシャーをかけるため、一審で認められた慰謝料請求の仮執行宣言付き判決を使って、相手方の預金312万7696円を差し押さえました。

    7.控訴審でも相手方の不貞行為を中心に主張を尽くした結果、和解協議の席上、高等裁判所は、第1審判決と同様に相手方と不貞相手の不貞関係を認める心証開示を行い、これを前提に和解協議を行いました。相手方としては、是が非でも離婚したかったようで、こちらの要求を次々と飲んでいきました。 最終的に、離婚には応じることになったものの、①お子様の親権者はご相談者様、②養育費はお子様が22歳になるまで月額25万円、③既に取り立てた312万7696円は相談者様のものとする、④相談者様は財産分与として4000万円取得、⑤年金分割の按分割合を0.5とするなどを内容とする訴訟上の和解が成立しました。

    弁護士のコメント

    最終的に有利な解決を導くことができたのは、不貞関係の立証に成功したからだと思います。有責配偶者と認定された判決が高等裁判所でも下されると、まだ小さいお子様が独り立ちするまで婚姻関係を継続しなければならないという恐怖が相手方にあったのだと思います。
    最終的に有利な解決をすることができ、相談者様にも大変喜んでいただくことができました。
    私自身も、何度も相手方らの住居周辺を調査する、しつこいくらい丁寧に主張立証するといった泥臭く、地道に戦うという自分らしい戦いをすることができました。今回の解決結果そのものも嬉しく思っていますが、そのことをとても誇りに思っています。

  • 養育費増額調停を利用して親権を維持しました。

    相談事例

    相談者様は、本件依頼時40代の女性です。本件の相手方である元夫との間で調停離婚が成立し、お子様(本件依頼時14歳)の親権は相談者様が獲得したのですが、離婚調停の際に面会交流については詳細を定めていませんでした。
    そのような状況下で、相手方は、離婚成立後も相談者様とお子様との生活に介入したり、離婚調停で決まった事項を守らなかったり、午後11時を過ぎてもお子様を自宅に帰さないなど不適切な面会交流を実施したりしていました。相談者様は、こうした相手方の行動に悩んだ末、当事務所の弁護士に対して相談し、本件事件を委任することにしました。

    解決結果

    1.弁護士は、相手方に対して内容証明郵便通知書を送り、これまでの相手方の不適切な行動について改善を求めるとともに、今後の面会交流については弁護士を通じて相談者様の事前の承諾を得るよう求めました。しかし、帰宅時間が午後11時を過ぎる交流をやめるなど相手方の態度は一部改善したものの、こちらの求めた事前承諾による面会交流の要請を無視し、無断での面会交流を継続しました。
    そこで、弁護士が再度、内容証明郵便通知書を送付して事前に承諾をとって面会交流をするように要請しました。そうしたところ、相手方は、弁護士に依頼して、こちらの主張について反論するとともに、面会交流調停を起こす旨を予告してきました。

    2.そのような予告を受けて検討した結果、その時期は、丁度お子様の年齢が15歳となる時期で、養育費の増額が認められる時期に差しかかっていたことから、面会交流調停にあわせてその当時の養育費月額1万5000円の増額調停を申し立てることにしました。
    また、相手方は定職にはついているものの、その収入は年収350万円程度で相談者様の半分程度しかなく、離婚調停ではそれが決め手となって、相談者様が親権者になりました。このように相手方の弱点は、このような経済的基盤の脆さにあると考え、今回養育費の増額を求めることで、相手方に経済的にプレッシャーを与え、調停においてこちらに有利な事情が引き出すことができるのではと考えて、養育費増額調停を行うことにしました。
    この点、相手方が養育費の増額を拒絶する可能性も考えましたが、面会交流調停で自分に有利な条項を定めようとする手前、相手方において養育費の増額は拒絶しにくいだろうとも考えました。

    3.その後、相談者様から養育費増額調停の申立が、相手方からは面会交流調停のほかに、親権者変更調停の申立がなされました。相手方の申立書を見る限り、相手方の要求は、親権者変更が主たるもので、面会交流については予備的なものという位置づけでした。親権者変更調停であっても養育費の増額はこちらに有利になること弁護士は考えていました。

    4.上記3つの調停事件は、同一期日で行われましたが、最初に比較的審理のしやすい養育費の増額について調停が進められ、相手方は弁護士の読み通り養育費の増額にあっさりと応じ、養育費を月額1万5000円から月額3万円に増額するという調停が成立しました。

    5.そして、養育費増額調停が成立したにもかかわらず、相手方は養育費の支払いを遅延するようになりました。まさに弁護士の予測したとおり、相手方の経済的基盤の脆さが露呈することになりました。
    そして、弁護士は、親権者変更について、相手方の主張に対して反論することはもちろんのこと、こうした養育費の不払いを細かく指摘し、養育費の支払いを怠る者は親権者として相応しくないということを強く主張しました。また、お子様がそれなりに学費のかかる私立高校への進学を決めたことから、経済力のない相手方は、なおさら親権者として相応しくないという主張もしました。このように相手方の経済的基盤の弱さを徹底的に突いて、相手方が親権者になることはありえないという雰囲気を作り出しました。

    6.そうしたところ、お子様が15歳であることを踏まえて基本的にはお子様の意思が最優先であると述べながらも、養育費の不払いについては調停委員も家庭裁判所調査官も無視できず、調停の流れは大きく相談者様側有利に傾いていきました。相手方は、家庭裁判所調査官による調査を希望し、そこに望みを託しているようではありましたが、調停の流れが大きくこちらに傾いた中で、結局のところ、家庭裁判所調査官による調査が実施されることはありませんでした。
    家庭裁判所は、相談者様と相手方が調停外でお子様に意思確認をして、お子様が親権者変更を積極的に希望しない限り、家庭裁判所の調査官調査を行うまでもなく、親権者の変更は行うべきではないと結論づけました。そして、相談者様と相手方が、お子様への意思確認を行った結果、お子様が相談者様と相手方双方に対して親権者変更を希望しない旨の意思表示をしたので、相手方は親権者変更調停を取り下げ、親権は維持されることになりました。

    7.なお、面会交流については、基本的には高校生になったお子様に気持ちを尊重して実施することを前提に、夜22時までに自宅に帰るというお子様の安全に配慮した調停を成立させることができました。

    弁護士のコメント

    養育費増額調停によって養育費の増額を勝ち取るとともに、養育費の不払いを誘発させて、相手方の親権者の適格性を否定するという作戦が奏功したことが、親権維持の結論を導くことができた大きな要因だったと思います。調停員も調査官も養育費を満足に支払っていない人が親権者として名乗りを上げていることに強い違和感を持っているようでした。
    相談者様も親権を維持できたことで大変に満足していただけました。
    本件を通じて、事案をよく検討して、こちらの強みを生かしつつ相手方の弱点を的確に突いていくことと戦略的に手続を進めることの重要性を再認識させられました。

  • 相手方とお子様の面会交流を年3回の写真等の送付に制限できました。

    相談事例

    1.相談者様は、本件依頼時40代の女性です。相手方である夫から離婚訴訟を提起されていました。相談者様は、当事務所の弁護士に離婚訴訟を委任しして応訴していました。離婚の訴訟の中では小学4年生(面会交流審判時)のお子様の親権が争点になっていました。

    2.相手方は、長期間にわたって面会交流を申出てこなかったため親権者として相応しくない旨の主張を相談者様がしたところ、相手方は、とってつけたように面会交流の申出をしてきました。

    これに対し、相談者様も、面会交流をすることお子様のために望ましいと考えていましたので、お子様と相手方との面談による面会交流を実施しました。ところが、この面会交流時の相手方の不適切な態度をきっかけとして、お子様が相手方に強い拒絶をするようになり、日常生活にも不都合を生じ、病院に通院するようにもなってしまいました。

    3.このような事情から、その後の面会交流については当面見合わせたいとの申出を相手方にしたところ、相手方が離婚訴訟と平行して面会交流調停を申し立ててきました。そこで、相談者様は面会交流調停についても当事務所の弁護士に委任して対応することにしました。

    解決結果

    1.既に離婚訴訟では,家庭裁判所調査官による調査が行われており、相談者様が親権者となるべきであるとの意見が出されていましたので、それを証拠として提出しました。また、お子様が通院していた病院の診断書を提出しました。そのうえで、お子様が相手方に対して強い拒絶感を持っておりそのことが日常生活にも悪影響を与えており、面会交流を実施することはお子様にとって不利益が大きいと主張しました。

    2.このような主張立証をもとに、改めて家庭裁判所の調査官調査が実施され、当面の間、直接的な交流は実施するべきではないという意見が出されました。そのうえで、直接的な交流が実施できない間、お子様に影響を与えない範囲で相手方がお子様の様子が把握できる方法を検討、議論しました。

    3.そして、最終的に①相手方とお子様との面談による交流を当面の間、見合わせること、②お子様が中学校を卒業する頃に面談による交流について再度協議すること、③相談者様はお子様から面談の希望した場合には面談による交流を妨げないこと、④相談者様は相手方に対して年3回お子様の通知票の写しとお子様の写真を2枚程度送付することを内容とする調停に代わる審判がなされ、同審判は確定しました。

    弁護士のコメント

    お子様の意向を審判に反映することができてよかったと思っております。 調停では、相談者様自身が相手方に対する嫌悪感や離婚訴訟で親権に獲得を図る目的から面会交流を一方的に拒絶しているという誤解を招かないように留意しました。そのような誤解を裁判所に与えてしまうと、相談者様がお子様の意思をねじ曲げているなどとして、お子様の真意が裁判所に伝わらないということになりかねないからです。お子様の意向や実情を誤解を生むことなく伝えきれたことでこのような審判を獲得できたのだと思います。

  • 離婚時に多額の財産分与を獲得することができました。

    相談事例

    相談者様は、50代の女性です。本件事件当時にはお子様達は既に全員成人していました。
    結婚後、相手方である夫の単身赴任のため,相手方とは別々に生活している期間が長かったのですが,夫の退職を機に再び同居することになりました。ところが、同居してからしばらくして、相手方が家を出て別居するとともに、離婚調停を申し立ててきました。相談者様は、今後の生活のことも考えて離婚をすべきかどうか迷いましたが、相手方が離婚調停で提案した財産分与等の金額は500万円程度で、夫婦で築いてきた財産に比べて大幅に少ない金額であったことから相手方の言い分に納得ができず、離婚調停は不成立に終わりました。
    その後、相手方から離婚訴訟が提起されて、訴状が相談者様のもとに届きました。ここに至って、自分一人で離婚訴訟に対処することは難しいと考え、当事務所の弁護士に相談して本件事件を依頼することにしました。

    解決結果

    離婚事件の方針について相談者様とよく話し合い、適切な財産分与が達成できれば離婚そのものに応じても構わないという方針で訴訟を進めることになりました。ただし、相手方を牽制する意味でも相手方の不貞行為についてある程度主張立証しておき、有責配偶者の主張がいつでも出せるような状況を作っておきました。
    今回の事件では、相手方には不動産、預貯金、証券、保険、企業年金、株式の配当金などの多数の財産があり、それを適切に掌握して,財産分与の対象財産に含めることが重要なポイントになりました。
    実際、相手方が財産分与の対象となる自己名義の財産として提示してきた財産はたった10個で、最終的に判明した財産の3分の1にも満たないものでした。
    そこで、相談者様に家の中に残されていた相手方の財産に対する手がかりを探して頂き、それを弁護士が分析して多数の未開示財産があることを主張立証しました。そうしたところ、相手方は次々と未開示の財産を開示し(もちろん任意の開示をしなければ裁判上の手続による開示を予定していました。)、約1年かかりましたが、最終的に相手方の財産をほぼ特定することができました。
    そして、財産分与についてある程度整理がついた段階で,財産分与以外の点について調整を行い、無事に和解離婚に至ることができました。相談者様は最終的に、調停段階で相手方から提示されていた500万円の10倍以上の5000万円を超える財産分与を獲得することができました。

    弁護士のコメント

    当初、相手方から提示されていた金額の10倍以上の財産分与を獲得することができ、相談者様にも大変喜んで頂くことができました。事件処理の結果について大変に満足しています。
    事件処理にあたって、相談者様が探してきて下さった山のようにある書類を一つ一つ粘り強く読み込んで分析し、財産分与対象財産を特定する主張につなげられたことが良い結果につながったと思います。また、その前提には妥協することなく、家中の書類を探し回って下さった相談者様の努力があります。依頼される方の協力があれば弁護士は大きな力が出せるのだということをあらためて実感しました。

  • 遠方に住むお子様との自由な面会交流が実現できました。

    相談事例

    相談者様は、離婚後、元配偶者である相手方が遠方に引っ越してしまったこともあり、 相手方が親権者となったお子様と思うように連絡をとったり、会ったりすることができませんでした。
    そこで、相談者様は、当事務所の弁護士に相談し、お子様との面会交流を実現するべく事件を依頼しました。

    解決結果

    事件を依頼した弁護士が相手方の住む地域の家庭裁判所に面会交流調停を申し立てました。遠方の裁判所ということもありましたが、当事務所には電話会議システムがあったことから、こちらの意向をスムーズに調停委員に伝えることができました。また、電話会議で調停を進めたために、調停成立まで一度も裁判所に行くことなく、交通費をかけずに調停を進めることができました。
    結果、お子様の年齢がそれなりに大きいことやお子様の意思を尊重するということを踏まえて、相談者様とお子様が話し合って自由に面会交流を実現してもよいという調停を成立させることができました。

    弁護士のコメント

    遠方のお子様との面会交流の場合には、近くに住む場合と異なり、どうしても回数や時間や場所といった面で制約が加わりがちです。また、調停条項で面会交流の条件を詳細に決めすぎても、柔軟性を欠いた面会交流ということになってしまいます。
    今回の事例では、お子様とご相談者が話し合って自由に面会交流をしてもよいという調停が成立しました。これによって、例えば、夏休みなどの長期休みに宿泊付きの面会交流を行うなどの、柔軟性があり、お子様の意思を最大限尊重した面会交流の実現ができるようになりました。子の福祉という面会交流の趣旨に合致した調停を成立させることができ、とても嬉しく思います。

離婚問題といっても、離婚そのものが問題となるケース、
親権など子供のことが問題となるケース、
財産分与や養育費や慰謝料など
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